狂言と落語の出会い

京都薪能イベント情報 能楽(能/狂言/謡曲)を語る
京都薪能イベント情報

1週間ほど後だが、茂山千五郎一家による下記の狂言会が開催される。

【行事】茂山一族Delax狂言会
【日時】5月24日(土) 14:00開演
【場所】高槻城公園芸術文化劇場 北館 中ホール
【費用】一般 3,500円 / 25歳以下 1,000円
【演目】▷ 骨皮(茂山七五三, 茂山逸平 ほか)
    ▷ 平林(茂山千五郎, 茂山宗彦, 茂山茂)
    ▷ 死神(茂山千之丞, 茂山あきら ほか)

大蔵流狂言・茂山千五郎家の狂言は格式張らず、より親しみやすいことで知られます。
能楽と一言で申しましても、『能』の合間に上演される『狂言』はコメデ/喜劇で、息抜き的意味合いがございます。
それでも古くから武家式楽とされた『能楽(能狂言)』は庶民には格式高いものでした。
二世・茂山千作氏は当時、京都の食卓の常のおかずだった豆腐を念頭に
「お豆腐で結構。それ自体高価でも上等でもないが、味つけによって高級な味にもなれば、庶民の味にもなる。お豆腐のようにどんな所でも喜んでいただける狂言を演じればよい。より美味しいお豆腐になることに努力すればよい」と語ったったと云います。
茂山千五郎家の『お豆腐狂言』という諱はその家訓に由来します。


今回、上演される『骨皮』『平林』『死神』は、いずれも落語と深い所縁のある演目です。

三遊亭金馬・落語CD全集

三遊亭金馬・落語CD全集

狂言『骨皮』と縁深い落語は『金明竹』
ともに言葉の誤解やすれ違いが笑いの原因となる作品です。
『骨皮』ではご住職が跡継の新発意(しんぼち/新米僧侶)に檀家さんへの対応を教えますが、『金明竹』では骨董屋の主人が店番の小僧にお客さま対応を教えます。
早口で捲し立てられ、思わず意味を取り違えた挙句、大失敗が巻き起こる、てな噺です。

『金明竹』は早口の言い立てが特徴で、滑舌やリズム感の修行に最適とされ、前座噺にもよく登場します。
三遊亭金馬(3)立川志らく林家たい平なども得意としています。
映像DVDでは柳家小三治が出ています。

立川わんだ・落語CD全集

立川わんだ・落語CD全集

狂言『平林』は、古典落語『平林』を落語作家・小佐田定雄氏が新作狂言にアレンジした作品です。2014年初演。
平林(ひらばやし)さんへの大切な手紙を託った太郎冠者。
しかし名前がなかなか覚えられず、字も読めないので、道すがらいろいろな人に尋ね廻ります。
ところが尋ねた人、各々が異なる読み方を教えたので大混乱。
そこで太郎冠者は最後の手段に出るのですが・・・!?

『平林』も『金明竹』と同じく前座噺にもよく登場します。
言葉遊びとリズミカルな語りが特徴です。
三倍早送りと云われた若き日の立川談志の得意演目でした。
上方落語なら桂春団治(3)がCDを発売しておられます。

立川志の輔・落語CD全集

立川志の輔・落語CD全集

狂言『死神』落語『死神』を能楽師笛方の帆足正規氏が狂言化。1981年初演以来、人気演目となった作品です。
借金で自死を決意した男が死神となかよくなり、助かる病人と助からない病人を見分けられるようになる。
それを利用し、医者として大金持ちになるが、運に見放され、再び貧乏に…。
起死回生の妙計と禁断の技を用いるのだが・・!?

もともとイタリア民話(グリム童話にも同じような話がある)を基に三遊亭円朝が落語に翻案した作品ですが、漫画 『昭和元禄落語心中』でも印象的な登場を摺る演目です。

古今亭寿輔落語(CD2枚組)

古今亭寿輔落語(CD2枚組)

物語の完成度が高いせいか、個性も出やすい演目で、三遊亭円楽(6)はCD/DVDともに人気。
立川志の輔三遊亭好楽柳家小三治も十八番としています。

癖の強い噺家で知られる古今亭寿輔もCD録音しています。

狂言師・茂山千五郎氏、落語家・桂二乗氏の解説付きでお届けする、一風変わった『狂言会』。
お時間があればぜひご覧になってください。


茂山一族狂言会

茂山一族狂言会