お彼岸の話(3)・・・彼岸へ至る六つの行いとは?

お彼岸の話 身近な仏教&京都の習わし
お彼岸の話

 本日9月26日は1週間にわたるお彼岸の最終日・彼岸明けに当たります。
 本ブログでも昨年、『彼岸の由来』と『おはぎとぼたもち』の話を『お彼岸の話』として書かせてもらいましたが、遅くなりましたが今回は『彼岸に至る六つの行いと京都のあるお寺』について少し書かせて戴きたいと思います。


彼岸に辿り着くためには・・・?

 ご存じの方もおられるでしょうが、『彼岸』とは迷いを超えた悟りの世界を指します。今、私たちがいる迷いや苦しみ多き世界=此岸に対する言葉になります。では、どうすれば私たちは彼岸に到達できるのか、経典では六つの正しい行いにより、私たちは彼岸に到達できると書かれているそうです。ちなみに彼岸に到ることをサンスクリット語で『パーラミター(波羅蜜多)』というそうで、この六つの正しい行いを『六波羅蜜』と呼びます。
 それでは、六波羅蜜とはいったいどうような行いなのか?

1.布施(ふせ):人に施しをすること
2.持戒(じかい):戒律を守ること
3.忍辱(にんにく):苦難に耐え、怒りを抑えること
4.精進(しょうじん):努力を続けること
5.禅定(ぜんじょう):心を静め、精神を集中すること
6.智慧(ちえ):真理を見極めること
彼岸花

彼岸花

 この中でも一番大切にされるのが『布施』なのだそうです。子供の頃、あるお寺さまにおうかがいしたのですが、この『布施』はなにも金銭や衣服、食料など形ある物質的なものだけではないのだそうです。仏さまの教えをわかりやすく多くの人に伝え、お経を詠み、人々の心から迷いや苦しみを取り除くことも布施であり、不安や畏れ、孤独感などを抱いている人に寄り添い、安心させてあげることも布施なのだそうです。つまり誰かのために自分の大切なものを分け与える。それは物質でも、心でも、時間でも、分け与えることが自分自身を救ってくれる、そう仰っているような気がします。

 またこれは妻がご縁を戴いているお寺さまのご案内に書かれていたのですが、この布施には『三輪清浄』の精神の心構えが大切なのだそうです。先ず『自分が施してやった』という思い上がりの心を持たないこと、『いつかなんかで返せよ』という見返りの心を持たないこと、加えて、受け取る側も感謝はしても『卑屈な心』を抱かないこと。この3つの心構えがあってはじめて、布施は布施になるというのです。
 そういえば昔、故・早坂茂三さんの本を読んだ際、こんな話が載っていました。早坂さんは長く田中角栄元総理の秘書を勤められた方ですが、ある選挙前、田中角栄さんが立候補者に軍資金を届けようと竹下登さん(元総理)を呼び出されたそうです。その際、
「けっしてお金を渡してやる、という気持ちで渡してはならん。受け取っていただいてありがとう。ぜひ有効活用して、国のために国会議員として戻ってきてほしい。そういう気持ちで渡しなさい」と薫陶をされたそうです。そうでないとその金は死に金になると云われたと書かれていました。金権政治の代名詞のように云われた角栄さんでしたが、やはり人の上に立つ方なんだなと思ったのを覚えています。この布施のお話を聞くと、まぁ政治は綺麗事だけではないでしょうが、それでも相通ずるところはあるなぁ、という気がしてきます。


京都の六波羅蜜寺と関係があるの?
六波羅蜜寺

六波羅蜜寺

 ところで『六波羅蜜』という言葉を聞くと、京都人ならまず、東山にある古刹『六波羅蜜寺』を思い出します。真言宗智山派さまの寺院で、西暦951年に空也上人が創建されたと伝えられます。重要文化財である本堂には、国宝の十一面観音立像(本尊)が鎮座し、宝物館には空也上人立像、平清盛坐像、地蔵菩薩坐像などの重要文化財が安置されています。西国三十三所第十七番札所、都七福神など巡礼地としても知られます。
 ただ、この『六波羅蜜寺』というご寺号は、空也上人没後、高弟の中信上人によって改められたと云われています。名前の由来には、大きく二つの説があるようです。
 一つは、先述した、迷いの此岸から悟りの彼岸へ至るための六つの修行『六波羅蜜』から名づけられたという説。もう一つは、古くからこの地が『六波羅』と呼ばれていたことに由来するという説です。

 平安時代の古典文学や御伽草子などを読むと、時折この『六波羅』という地名が登場します。当時、この辺りは東山の麓に広がる『鳥辺野(鳥部野)』と呼ばれる葬送の地への入口として知られていました。『六波羅』という地名そのものの由来には諸説があるため、鳥辺野と六波羅の因果関係は明確ではありませんが、『六波羅蜜』と『六波羅』、二つの言葉を並べてみたとき、なにか私たちが知らない真実が隠れているような気がしてきます。


《参考 日本の古典文学》
◎【朗読】日本の古典・古文
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