先日のことです。
犬にトイレに行きたいと叩き起こされ、眠気を我慢しつつ外に出ると、少し遠方から新聞配達の自転車がやってきます。
「こんな早くから・・・若いなぁ・・・」などと見ていますと、自宅東隣、一軒だけに新聞を投函、颯爽と走り去っていきました。
ちょっとした驚きでした。確かに私自身も店には一紙、配達してもらっていますが、自宅は断って数年がたっています。

新聞購買件数
公益財団法人新聞通信調査会の2025年調査(全国18歳以上5000人対象。2665人回答)では、月極で新聞購読している人は約50.1%。対2008年で38.5%、対前年でも3.7%減少しており、新聞を月極契約する習慣が大きく縮小したことが窺えます。
日本新聞協会による日刊紙総発行部数の減退はさらに衝撃的です。2000年には約5,371万部だったものが、2025年には約2,487万部になっています。発行部数の減少は新聞販売所の減少にも繋がっています。2025年の新聞販売所数は全国で12,278店(前年比5.1%減)。従業員数は19万5,551人。最盛期の1996年の40.5%まで落ち込んでいます。
この新聞離れは今後さらに拍車がかかりそうです。先述の新聞通信調査会は、2025年における『今後も紙の新聞を購読する』読者は全体の40.7%。さらに読者層が高齢×男性に偏っていることも指摘しており、
ほぼ毎日新聞を読む人の割合は、60代男性が40.4%なのに対し、10代女性は1.2%と報告されています。
つまり現在の新聞業界は、購読者減少 → 部数減少 → 販売店減少 → 配達網維持が困難 → さらに購読環境悪化、という悪循環の真っただ中にあると言えます。
『なぜボクらが新聞を読まなくなったのか』・・・この理由を示すデータがあります。新聞通信調査会が2024年、『月極で新聞を購読していない人』1,326人を対象にした調査結果です。
2.新聞の購読料が高い 39.3%
3.新聞を読む習慣がない 24.9%
4.新聞を読む時間がない 22.1%
5.紙の新聞は処分が面倒 20.8%
6.家族がとらない 11.5%
7.新聞に役立つ情報が少ない 5.7%
1や7などの『求める情報の変化』、2の『費用負担』、3,4,6の『継承されない習慣』に大別されます。
『求める情報の変化』は後述することとし、『費用負担』と『継承されない習慣』は次のような現象です。
《費用負担》 食費、電気、ガス、通信費などインフレが加速する中、スマホなどで迅速かつ無料で情報やニュースが入手できる現状では、新聞代金は本当に必要な経費なのか、『費用負担』の是非は『求める情報の変化』とも密接に関わりますが、一方で絶対的な条件にもなり得ます。SNSや動画配信などで、新聞を読まずとも多くの情報に触れられる現状で、この『費用負担』が合理性な値なのか、問われているのかもしれません。
《継承されない習慣》 また世代間での習慣継承の断絶も見られます。両親が新聞を月極講読していたとしても、スマホやネットで情報を取得することに慣れた世代は、独立後、自分では新聞を月極講読はしないかもしれません。ましてや新聞を月極で取らないご家庭で育てば、あえて新聞を月極契約する人は少ないでしょう。『新聞がなくても生きていける』という認識が広く定着したことはけっこう大きい理由ではないでしょうか。
『テレビやインターネットなど他の情報で十分』という新聞離れの理由。実に4分の3以上の声は、まさに『求める情報の変化』が起因しています。
ここで間違わないで戴きたいのが、一部ネットなどで紹介される『オールドマスコミは信用できない』という風潮は、必ずしも『新聞』というメディアには適用されないことです。例えば新聞通信調査会の2025年調査では、メディアの信頼度でトップはNHK、新聞は僅差で2位につけています。同年の日本リサーチセンターや博報堂の調査では「信頼できる」は新聞がトップ。特に博報堂メディア環境研究所の2025年のメディアイメージにおける『情報が信頼できる』部門では、新聞 51.8%、テレビ 33.8%、スマートフォン 19.9%、雑誌 8.0%と圧倒的な信頼感を見せています。
にもかかわらず、なぜ新聞離れが進んでいるのか、それは下記の理由からだと思われます。
B.情報が遅い
C.新聞の記事は読み物として重い
D.地域情報が不要になった
《求める情報の変化 A》 新聞の長所は、政治、経済、社会、文化、スポーツ、地域ニュースなどを一通り掲載する総覧性でした。対立する意見や見解を併載できることも長所でした。しかし忙しくタイパ重視の現代社会では、必要な情報のみほしい、という人も多くおられます。また反対意見など最初から聞きたくない、見たくないという方も少なからずおられます。
《求める情報の変化 B》 また新聞は『朝刊』が基本的な発行のタイミングです。スマホやネットに、リアルタイムで情報が表示される現代社会で、「今更このニュースかよ」という感想も出てきます。
《求める情報の変化 C》 これは私共のブログの欠点でもありますが、一つのテーマを正確にわかりやすく伝えるには、経緯や背景、関係者の意見、社会的影響、解説などをきちんと書く必要があります。
一方でスマホをよく使う方は、通常数十秒、長くても1~2分程度でスマホから情報を得、消費されています。2018年の日本財団の調査では、18歳の人々が新聞を読まない理由として挙げた第一位は『面倒くさい / 読む時間がない』でした。
SNSで短文に慣れた世代には、長文が苦手という方もおられ、この辺も新聞離れを加速している気がします。
《求める情報の変化 D》 地域情報についても必要性が低下しました。コロナ以後、家族葬が急増し、訃報を見てお通夜や葬式に駆けつけることが減りました。自治体ホームページの充実で地域ニュースは間に合いますし、求人や折り込み広告もLINE配信で対応できます。

新聞は今もなお情報を伝えるメディアとして一級の価値を持っているようです。ただその価値と費用負担が、消費者にとっては釣り合っていないと感じておらおられます。
けれど実際には、SNSやYouTubeの情報には新聞由来のものも多くあります。その情報収集と、整理されわかりやすい記事を作成できる貴社の育成には莫大な費用が必要になるのです。
情報が、ヒト・モノ・カネに続く第四の資産と呼ばれて久しいですが、これを確保するのはなかなか困難な時代になりつつあるのかもしれませんね。


