『カントリー&ウエスタン』ってどんな音楽?

『カントリー&ウエスタン』ってどんな音楽? 音楽を語ってみた
『カントリー&ウエスタン』ってどんな音楽?

 先日のことです。初見のお客さまに
「カントリー&ウエスタンってどんな曲ですか?」と尋ねられ、一瞬エッ??となってしまいました。

というのも、日本と本場アメリカでは、『カントリー&ウエスタン』のイメージが若干ずれているからです。

ジョン・デンバー ベスト全曲集 -カントリー・ロード-(CD)

ジョン・デンバー

 もともと「カントリー」「ウエスタン」は、どちらもアメリカの地方に暮らす人々の生活や感情を歌う音楽です・・・が! 出発点が大きく異なっています。
 『カントリー』はアパラチア山脈周辺の農村で育まれました。アイルランドやスコットランドのフォーク色の強い楽曲に、黒人のブルース、ゴスペルなどが混ざり合って発展したと云われています。ギターやフィドル(ヴァイオリン)、黒人文化に深く根差したバンジョーなどを用いた素朴で親しみやすい、家族や故郷への思いを穏やかに描く音楽です。
 一方、『ウエスタン』は西部開拓時代のカウボーイ文化や荒野のロマンを背景に、より劇的で物語性の強いスタイルを持つ音楽で、映画文化、とりわけ西部劇映画の発展と共に人気を得ました。
 この発祥の異なる二つのジャンルを一括して『カントリー&ウエスタン』と呼ぶようになったのは、1940〜50年代のアメリカのレコード会社やラジオ業界が大衆向けの音楽ジャンルとして、恣意的にまとめて扱ったことが原因と云われています。つまり『カントリー&ウエスタン』という呼称はまさに商業的ラベルに過ぎなかったのです。

チャーリー・プライド RCA 1966-1968 -黒人カントリー歌手のさきがけ-(CD2枚組)

チャーリー・プライド

 ところが1950年代以降、『カントリー』がハンク・ウィリアムズジョニー・キャッシュドリー・パートンウィリー・ネルソンジョン・デンバーなど人気アーティストを輩出。さらにチャーリー・プライドレイ・チャールズなど黒人カントリー歌手も参入。音楽的にもロックやポップス、ゴスペルやブルースを吸収し、多様化していったのに対し、『ウエスタン』は映画産業の斜陽化、西部劇の衰退により音楽もまた低迷。アメリカでは次第に『カントリー&ウエスタン』という呼称が減り、『カントリー・ミュージック』と呼ばれるようになります。

テイラー・スウィフト『Speak Now -Taylor's Version-』(CD2枚組)

Speak Now

 ちなみにこの『カントリー・ミュージック』は現代でも確かな人気を得ており、2000年代に人気を博したシャナイア・トウェイン今や『ポップ・クイーン』と呼ばれるテイラー・スウィフトも、本来はこの『カントリー』の系譜に繋がります。テイラー・スウィフトのデビューが、カントリーの聖地、テネシー州ナッシュビルであることはよく知られています。


 それではなぜ日本では『カントリー&ウエスタン』という名称が今なお、一般的に用いられているのか?
 それは『カントリー』が日本で本格的に紹介された時期と、当時の日本人のアメリカ文化への憧れに起因しているように思います。
 日本で『カントリー』が紹介されたのは1950年代~1960年代。日本が敗戦の傷跡からなんとか復活の糸口を掴み始めた時期でした。1950年代といえば先述のとおり、アメリカ商業主義のもと、『カントリー&ウエスタン』という呼称が大々的に用いられていた時代です。当時の日本では、ジョン・ウェインをはじめ西部劇が大流行。『カントリー&ウエスタン』の名称は日本ではまだまだ大成功でした。なにせカウボーイ風の衣装を着て、ギターやスティール・ギターなどを演奏し、アメリカ西部の雰囲気を楽しむ、こういう光景が当時の日本ではけっこう見られたそうです。
 これは日本人に限ったことではないかもしれませんが、日本は音楽でもスポーツでも形から入ることが少なくありません。カウボーイ風のアメリカン・スタイルに魅了された当時の日本人にとって。『カントリー&ウエスタン』は単なるアメリカ音楽の一ジャンルであると同時に、『憧れのアメリカ』の象徴でもあったのかもしれません。そのため当時のアメリカ音楽に夢中になった世代にとって、『カントリー&ウエスタン』というジャンルは不滅不衰の存在になったのかもしれません。

 まぁ『音楽』にとっては名称やジャンルはどうでもいいことかもしれません。大切な事は彼らを聴くことで、笑顔になったり、前向きになれたり、落ち着いたり・・・よろこんで聴いてくれる人が多いことが『音楽』の最大の喜びのように、私は思います。
ウィリー・ネルソン ベスト全曲集 -カントリー&ウエスタン-(CD)

ウィリー・ネルソン ベスト

『カントリー』といえばナッシュビル
ナッシュビルと云えばテネシー州
テネシーと云えばテネシーウイスキー
テネシーウイスキーと云えば『ジャック・ダニエル』。

 今宵はウィリー・ネルソン『ON THE ROAD AGAIN』あたりを肴に、まろやかな甘さに少し酔いたいな、なんて似合いもしないキザを言ってみたくなりました・・・なーんてなっ(^^;

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