板東英二さんがお亡くなりになりました。心よりご冥福をお祈りします。

板東英二
板東さんは昭和15年に満州(中国東北地方)に生まれ、敗戦後に帰国。中学時代に野球と出会い、徳島商業高校に進学後はエースとして甲子園大会にも出場。大会通算83奪三振の記録を打ち立てました。その後、中日ドラゴンズに入団し、11年・77勝を記録されています。
タレント後は、ラジオパーソナリティーや、クイズ番組のレギュラー回答者、司会もするほどの大活躍。俳優業にも進出されました。
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私の場合、俳優・板東英二を強く認識したのは『毎度おさわがせします(1985)』で、中山美穂演じる生意気盛りの女子中学生のどかと、夏木マリ演じる強い母親、さらには夏木が通うプロレススクールの先生(ライオネス飛鳥, 長与千種など)にさんざんに痛めつけられる可哀そうなお父さん役でした。それでも或る時、心配のあまり、のどか(中山美穂)の頬を叩いてしまい、オロオロする姿が印象的でした。うまいわけじゃないですが、素人くさいけどハマッている、そんな感じです。
俳優・板東英二さんの最高傑作と云われるのが
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映画版『あ・うん』 です。 DVD/Blu-ray ご注文/詳細
原作は、劇作家で小説家の向田邦子さん。1989年に主演・高倉健、ヒロインに富士純子(藤純子)で映画化されました。監督は降旗康男。中年男女の三角関係を描いた作品です。藤純子が富士純子と名を改め復活。『緋牡丹博徒』『日本女侠伝』『日本侠客伝』『昭和残侠伝』などで実績がある高倉健との名コンビということでも話題を呼びました。
仙吉は知っているのだ。門倉にとって、水田家で過ごすひとときが最高の憩いの場であること。そして、門倉が自分の妻・たみに好意を持っていること。民もまた少なからず門倉を男として見ていること。
たみも知っている。門倉が自分を一人の女性として見ていること。そして自分も門倉に好意を持っていること。門倉が決して親友の妻である自分に想いを告げないこと。なにより水田家でのひとときを大切に思っていることも。
門倉もまた気づいている。自分のたみへの想いを、たみも、仙吉も気づいていることを。だからこそ、この想いはけっして実らせてはならないことを。
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いつまでも続くと思われた、この3人の不思議な三角関係だが、戦争が激化していく中で、水田家にも、門倉にも、大きな変化が押し寄せる。
仙吉の娘・さと子(富田靖子)。美しく成長した彼女に想い人ができた。石川という実直な青年だ。しかし彼に召集令状『赤紙』が届く。
「戦場に行けば、もう二度と帰ってこないかもしれない。」
想いをとめられないさと子だが、仙吉とたみはどうしていいか、わからない。明日、戦場へ赴く男のもとにどうして一人娘を赴かせることができるのか。けれど門倉は云う。
「実らないとわかってても、どうしても実らせたいの恋なんだ」
それは門倉の心の悲鳴だったのかもしれない。
石川のもとへ走り去っていった娘を思い、眠れぬ夜を過ごす大人たち。門倉がボソリとつぶやく。
「さと子ちゃんは、今夜一晩が一生だな……」
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その後、更に戦争は激しくなる。仙吉の出征が目前に迫る或る冬の日。激しい雪の中、門倉は水田家に足を運ぶ。酒を酌み交わす、門倉、仙吉、たみ、だったが・・・。
板東英二さんが演じた水田仙吉はかなりの饒舌です。高倉健さん演じる門倉修造が無口で口数が少ない分、このコントラストが際立ちます。ここに年齢を経ても十二分に可愛らしい富士純子さんのたみが加わり、お互いをわかりつつも、見逃す、絶妙のやりとりが楽し気に描かれます。
しかし中盤に入ると、坂東さん演じる仙吉には少し不安が生じてきます。仙吉は門倉がたえに告白しないことを知っています。たえが門倉に想いを告げることもないとわかっています。それでも人間ですから心配にもなるし、疎外感も感じたりして、思わず芸妓に入れあげたりしてしまいます。
娘のこと、出征のこと、三人の時間にはいつしか沈黙の時間が増えてきますが、それもまた『阿吽』。静かに何も語り合わずとも伝わる大切なひとときが浮かび上がってきます。

板東英二さんが演じておられたのか、たまたま『素』でもできるハマリ役だったのか、正直わかりません。
でもそんなことはどうあれ、映画版『あ・うん』で坂東さんが高倉健さん、富士純子さんが醸し出してくれた、大人の『阿吽』はここちよく、余韻ののこるひとときでした。
上手く伝わったかわかりませんが、ぜひご覧戴きたい一作です。



