西本願寺さまのお向かいにある龍谷ミュージアムさんで、7月11日から始まったのが
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特集展示 仏教美術の聖なる怪物
彼らはなぜ、こんなによく登場するのでしょうか?
実のところ、『ヘビ』はさまざまな宗教で、重要な役割を果たしています。
例えばユダヤ教-キリスト教-イスラム教、これらは実は同じ神を崇める兄弟関係の如き宗教なのですが、ヘビは一貫して『悪と誘惑の象徴』として扱われています。旧約聖書・創世記には、イブを唆して禁断の果実を食べさせ、人間がエデンの園を追われるきっかけを作ったのがヘビでした。イスラム教の聖典『コーラン』でも、アダムと妻を誘惑した悪魔イブリーズと結びつけて語られています。
ヒンドゥー教やジャイナ教などインド発祥の諸宗教では、ヘビ(主にコブラ)は『偉大さ』『神聖さ』の象徴です。ヘビを神格化した存在を『ナーガ(那伽)』と云います。シヴァ神は首にヘビを巻きつけて登場し、ヴィシュヌ神は多頭の蛇アナンタの上で眠ります。加えて、ヘビは肥沃な大地や恵みの雨をもたらす水神として深く崇拝されています。
日本の神道でも、ヘビは『水神』や『水神の眷属=お使い』として描かれることが多いようです。『古事記』でもヤマタノオロチなど例外はあるもの、基本的には山や水を司る神として描かれます。生命力の具現化、といってもよいかもしれません。
また弁財天の使いである白蛇は、金運や豊穣をもたらす縁起のよい存在として祀られています。
例えばお釈迦さまが悟りを開く際、蛇王ムチャリンダはお釈迦さまを激しい嵐から守るため、自らの身体をとぐろにして、お釈迦さまを覆いました。法華経には、海の中に住むナーガ(蛇)の娘がお釈迦さまの教えを聴いて、瞬く間に男性に変じ、仏陀になるという物語が書かれています。背景に、当時の人々がヘビを雌雄同一と誤って認識していたこともあるのですが、必ずしも蛇を意味嫌う存在とばかりは捉えていないことがうかがえます。
また中国や日本では、ヘビ(ナーダ)は龍や龍神へと進化しました。建仁寺さまの『双龍図』、妙心寺さまの『雲龍図』、天龍寺さまの『雲龍図』、東福寺さまの『蒼龍図』は、京都四大大龍として知られています。
悪魔であれ、神の使者であれ、ヘビがこれほど宗教と縁深き存在になった原因は、やはり彼らが身近でありながら、理解しがたい生態を持っていたからでしょう。ヘビの次のような生態が、彼らを悪魔や神に変えたのかもしれません。
A.脱皮する ⇒ 再生と輪廻
ヘビの脱皮は、死と再生=復活を想起させます。永遠の命、往生による新たな命、と云ってもよいかもしれません。
B.毒を持つ ⇒ 恐怖の象徴
古代インドでは、ヘビは『見えない悪』『誘惑』『死』を意味しました。その印象は、日本にも影響を与えました。
C.地上と地下を行き来する存在
ヘビには足がなく、地を這い、穴に潜り、隙を見て地上に現れます。人々には地上社会と冥府を繋ぐ存在に思えたようです。
D.知恵の象徴
眼を閉じず、周囲を観察し続ける・・・ヘビに知性が感じたとき、人々は『知』こそが人を悪の道に走らせ、同時に力強い善の歩みも可能にすると気づいたようです。

仏教では、ヘビの存在を必ずしも『負』とは感じ取っていません。仏法を守らせる、雨を降らせる、宝を守る、文明を支える霊的存在とさえ感じていました。
自然界のヘビが持つ『毒という脅威』と、『脱皮による再生と水との関わり』、どちらを重視するかで、宗教におけるヘビの描かれ方は真っ二つに分かれているようです。
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龍谷ミュージアム・仏教美術の聖なる怪物

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