他のご商売でもそうでしょうが、商売をしているとお客さまがきっかけで出会う商品というものがあります。CD屋だとお客さまの要望でお探しして、自分の方が好きになってしまう曲があります。
今回、ご紹介させていただく小林旭さんの『やせがまん』はそんな曲の一つです。
『やせがまん』は、2005年7月に発売されました。作詞は阿久裕さん、作曲は小林亜星御大です。
聴いてもらえればわかりますが、早い話がフラレ歌です。フラれたときの態度や、本気で惚れた女性への接し方・・・自分の気持ちをグッとこらえて、強がって魅せる、そんな『やせがまん』の中に男の美学を歌う歌です。
うちのかみさんや、女友達には言わせると、「やせがまんなんて、どこまでもいっとても男の自己満足」なんだそうです。そんなもんされても、既に女性の気持ちは男から離れているわけだし、『見てないよ』と冷たいことを言います。
背中を向けた女には
棘ある言葉を投げるなよ
煙草を2本、灰にして
やさしく送ってやるがいい
これに返すアンサーは『見てないよ』・・・ってあんまりだ・・・が本当なんでしょうね。
このあと小林旭独特の高音のサビが来て、
男が男に見えるのは
いつでもそういうやせがまん
と続くのですが、『ジコマン』ですか、そうですか・・・
いいんだよぉ! 男は『ジコマン』が矜持になって、意地になって生きてんだ。
こちとら伊達と酔狂で生きてんだから、邪魔すんねぇ!!!
・・・なんて心の中でつぶやくのは私だけでしょうか。
残念なのは、この小林さんの名曲『やせがまん』、今はCDでは手に入りません。BOXにも収録されていません。
お客さまに尋ねられた際も手は尽くしましたが結局、収録CDは全て廃盤か生産中止。
残念そうな顔をして帰られるお客さまを見て、何とか聴いてみたくなって、私も「ええ曲やなぁ」と思ったわけです。
確かに小林旭、若い人はあまり聴かれません。未来のファン拡大が見込めないという判断で、追加生産されないんですよね。
けれど少しばかり思うんです。レコードは一時全く売れなくなりました。それでも細々と生産を続けていたからこそ、今、量的には小さいけれど再ブームが起こっています。
もしこのままCDで発売されなければ、若年層に求められていない以上、配信にも乗らない。消えていく運命です。本当にそれでいいんだろうか?

たぶん音楽に限らず、書籍や絵画、模型なんかもそうでしょうが、文化的なアイテムを取り扱っていると定期的に、商品としての価値とそのもの本来の価値のギャップに苦しめられます。いいな、と思っている歌や本が思うように売れない。棚に残しておきたいが、ビジネスとしてはデッド在庫になる。これはたぶん配信でも同じで、サーバーに残しておいてもだれも聴かなければ、気づいたらデータを削除されていることになります。
うーん・・・ホンマに難しいものですね・・・。
《参考 小林旭CD》
■ 小林旭ベスト全曲集(CD5枚組/送料サービス)
■ 小林旭:初期音源ベスト全曲集(CD3枚組)
■ 小林旭 ベストヒット全曲集(CD2枚組)
■ マイトガイ小林旭・初期ベスト全曲集30(CD2枚組)
■ 昭和アウトロー・ハードボイルド歌謡曲集(CD5枚組)
《参考 小林旭DVD/Blu-ray》
■ アキラ節と昭和歌謡 -小林旭ビッグショー-(DVD)
■ 小林旭の『七つの顔の男・多羅尾伴内』(DVD2枚組)



