落語『青菜』で知る、粋な夏の過ごし方

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 『夏の落語』というと個人的に真っ先に頭に浮かぶのが『青菜』です。
 『青菜』は、仕事先の大店で大変な歓待を受けた植木屋さんが、その場での大店の主人と内室の粋なやり取りに感銘を受け、自分ちでも同じようにやりたいと一念発起。
 妻と友達を巻き込み、強引に推し進めるが、環境も違えば、相手も違うわけで、もちろんうまくいかず・・・という話です。

柳蔭(お直し)

柳蔭(お直し)

 この話のよさは大店夫妻の粋でお洒落なやり取りと、植木屋夫婦の愛はあるけど品がないやり取りとの対比と、柳陰』『鯉の洗い』『青菜』などの昔ながらの季節の味わいです。
 植木屋さんが感激して真似しようと決意するほど、充実したこの3品。特に高価なものではありませんが、丹精込めて手入れした庭を見ながら、洗いをつついて、柳蔭でお直し、なんざ、なかなか粋でお洒落な時間の過ごし方ではないでしょうか。

 『柳蔭』とは、本味醂と米焼酎を、一般的には1:1で混ぜて作る夏用のお酒です。江戸時代から昭和初期にかけて、夏の暑気払いとして大流行しました。川の畔の柳の木陰で、涼みながらちびちびと風流に飲んだことから、『柳蔭』と呼ばれるようになったそうです。
 関東では『お直し』なんて呼ばれました。これは蒸留技術が未熟な当時の焼酎はけっこうクセが強く、本味醂を加え、味を直して飲んだことからついたようです。味醂の上品で濃厚な甘さと、スピリッツ系のスッキリとしたキレを併せ持つ『柳蔭』を井戸水などでキンキンに冷やして飲むことで暑い夏を乗り切ったそうです。
 現代だったらソーダ割りやロックにしても美味しいのではないでしょうか?

鯉の洗い 『鯉の洗い』は、新鮮な鯉の身を薄く切り、温水と氷水で洗うようにさらした関西の伝統的な刺身です。京都は海が遠く、私が子供の頃は川魚を食べる機会が今より多かった記憶があります。川魚は余分な脂や特有の臭みや癖がありますが、洗いにすることでそれがスカッと抜けて、鯉独特のプリプリとした心地よい歯ごたえと上品な甘みが生まれます。酢味噌で食べるのがやはり定番だった気がします。

 演目名でもある『青菜』ですが、料理としては、たぶん!ですが『菜っ葉のたいたん』『浅漬け』だったんじゃないでしょうか?
菜っ葉のたいたん 野菜の種類、これは物語からはよくわかりません。菜の花、小松菜、法蓮草・・・いろいろ考えられますが、『青菜』はもともと上方の噺なので、『しろ菜』が有力視されているそうです。しろ菜は私もあまり意識して食べたことがなかったのですが、近年、近くの産直市場に出かけるとよく見かけるようになりました。あまり癖がなく、白菜の葉っぱ版みたいな感じで、サクサクとしています。うちではお浸しにしたり、味噌汁の具によく使います。

 この『青菜』を聴くと、ちょっと浴衣か和服に着替えて、かみさんと夕涼みしつつ一杯、なんて気になります。なかなかかみさんには付き合っていただけませんが、お金がなくとも夏の夜を楽しむ方法はありそうです。風鈴なんてあってもよいですね。
(あかん・・・どうも自分に酔ってきた・・・寝よ寝よ・・・)

一口アドバイス!
1.味醂は『飲んで美味しい』に拘った伝統製法の本味醂を使ってください。調味料としての味醂は×。
2.焼酎は『米』が基本。『麦』や『芋』を使う際は香ばしさやキレが強まるので、応用編になります。
3.混合率1:1が基本ですが、焼酎2:味醂1にすると甘さ控えめでスッキリした味わいになります。

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