6月13日、『MUSIC AWARDS JAPAN 2026』授賞式にて、主要6部門の最優秀作品が選出・表彰されました。
ご紹介するとともに、振り返ってみたいと存じます。
最優秀楽曲賞
怪獣(サカナクション)
『MAJ2026・最優秀楽曲賞』は、サカナクションの『怪獣』に決定しました。この曲は、サカナクションの3年ぶりの復活を告げる作品です。電子音とバンドサウンドが緻密に融合し、力強さと繊細さを演出します。タイアップしたアニメ『チ。-地球の運動について-』と同様に、深いドラマ性と、リスナーの内面に深い余韻を残す一曲です。
『MAJ』に限らず近年の主要音楽賞はアイドルソング、ダンス&ヴォーカル、ネット発アーティストが目立ったように感じていました。そういう流行に迎合せず、音響設計や構成、ライヴ演出などにこだわりを持ち続けてきたのがサカナクションです。
『ストリーミング時代のヒット曲』であると共に『職人芸が光る楽曲』です。
《参考記事》『MAJ2026』最優秀楽曲賞 最終ノミネート5曲を紹介!
最優秀アーティスト賞
Mrs. GREEN APPLE
『MAJ2026・最優秀アーティスト賞』はMrs. GREEN APPLE。2連覇です。
『高い音楽性』と『大衆人気』の両立・・・エンタメ・ビジネスの長年の課題を見事にクリアしたのが彼らです。ロックバンドでありつつも、さまざまな音楽表現を取り込み、ジャンルの垣根を超えてきました。朝ドラ『風、薫る』の主題歌『風と町』はMrs.らしさを残しつつも年配者も安心して聴ける楽曲に仕上がっています。
Mrs.Green Appleの受賞理由は、単に『一番売れたから』『若い人に人気だから』ではなく、彼らのめざす音楽性と、リスナーへのアプローチを両立した点にあるのではないか、そう感じます。
《参考記事》『MAJ2026』最優秀アーティスト賞 ノミネートご紹介!
最優秀ニュー・アーティスト賞
HANA
『MAJ2026・最優秀ニュー・アーティスト賞』は前評判通り、HANAが受賞しました。
HANAはちゃんみながプロデューサーを務め、メーカーやタイアップ企業の強力なバックアップを受け、SNSや動画配信で反響を呼び、同世代を中心とするリスナーとの共感を軸に活動してきました。
もう一点、HANAの魅力は彼女たちが単なるK-POPの焼き直しでない点です。世界を意識したK-POPの育成システムを土台に、日本的な感情表現や共感性を融合。独自性を育むことで、YURIが言った『救われたから、私も救いたい。誰かにとって寄り添える存在に』に向かっているのかもしれません。
《参考記事》『MAJ2026』最優秀ニュー・アーティスト賞 最終ノミネート情報
HANAはK-POPの牙城を崩せるか!?
最優秀アルバム賞
Prema(藤井風)
『MAJ2026・最優秀アルバム賞』受賞は藤井風(Fujii Kaze)の『Prema』でした。
近年のプレイリストやショート動画ブームが、音楽の『消費財化』が進めたと云われます。アルバムのテーマに共感し、アーティストのメッセージに思いを馳せ、何度も何度も友と語り合うように聴く、そんな聴き方は古臭いものとなっていました。
『Prema』の受賞はそんな古いレコードファンにとって感慨深いものでした。1曲毎に味わうのではなく、アルバム全体で一つの作品として楽しむ。アルバム価値を再定義するような作品です。
《参考記事》『MAJ2026』最優秀アルバム賞 最終ノミネート情報
藤井風 Hachiko を聴く
Best Global Hit from Japan
HYPNOTIZE(XG)
『MAJ2026・Best Global Hit from Japan』は、XGの『HYPNOTIZE』が受賞しました。
XGはメンバー全員が日本人でありながら、英語詞の歌を中心に歌うダンスグループです。K-POP風の育成システム=長期間、ヴォーカル&ラップ&ダンスの専門トレーニングなどを取入れ、K-POPの制作現場を参考にしています。
ただ、K-POPの育成が厳しい競争の下で行われるのに比べ、XGは共に成長する=共成のもとで育ったと云います。
『最初から海外市場に最適化された戦略とCREATUVE』の成功例として、『HYPNOTIZE』が認められた、と云えそうです。
《参考記事》『MAJ2026』Best Global Hits from Japan 最終ノミネート情報
最優秀アジア楽曲賞
Golden(HUNTR/X)
『MAJ2026・最優秀アジア楽曲賞』は、HUNTR/Xの『Golden』が受賞。ネトフリのミュージカルアニメ『KPop Demon Hunters』の主題歌です。
耳に残るフレーズ、キャッチーなメロディーライン。一方、異なる要素の入り混じった音楽性、これが共存しています。
最優秀アジア賞の受賞曲やノミネート曲は日本の音楽の可能性を二つの意味でバックアップしているかもしれません。一つは参考になる多様な音楽の存在、もう一つはアジア諸国のどこにもない日本音楽の個性の再発見、です。どう展開していくのかが楽しみな『賞』だと思います。
《参考記事》『MAJ2026』最優秀アジア楽曲賞 最終ノミネート情報

私はこの『MAJ』のノミネート曲が『技術的に高密度な楽曲』に偏っている気がしていました。
ただ今回の受賞曲を見ると、確かに高密度楽曲は多いですが、余白を意識した曲や、余韻を大切にした楽曲、楽曲が誕生した背景にも着目したかの如き選考が目につきました。
『これがめざすべき音楽だ』ではなく『これもめざすべき音楽だ』なのかもしれません。
それにしても人間のクリエイティブはけっこう奥深いものですね。
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