軟水と硬水の違いってなに?

軟水 or 硬水・・・お茶を淹れるには? 健康と食事
軟水 or 硬水

 近頃、来日客の抹茶ブームがよく取り上げられます。『立てる』というより『練る』ように茶筅を動かす店員を見ると、「ええんかいな」とも思いますが、お客さんも店の人もニコニコ顔なので、「野暮は言っちゃいかんなぁ」なんて思います。

 さてお茶やコーヒーと云えば、よく話題になるのが『軟水』か『硬水』か、です。実のところ、「日本は軟水、ヨーロッパは硬水ってことはなんとなくわかるけど・・・」という方も多いのではないでしょうか。
 ということで、本日は『軟水』と『硬水』の違いについてです。


軟水と硬水ってなにが違うの?

 『軟水』『硬水』を分ける基準は、早く言えばH20以外の不純物=カルシウムとマグネシウムの含有量=硬度です。WHOでは、1リットル当たりのカルシウムとマグネシウムの含有量が120mg未満だと『軟水』、120mg以上だと『硬水』と明確に定められています。ちなみにこの不純物、炭素、水素、窒素、酸素の4つ以外の全元素を総称してミネラルと呼びます。

軟水、硬水の成り立ち

軟水と硬水の道のり

 このミネラルは、『水』が私たちの元に届くまでの過程で、『水』の中に蓄積されます。ミネラルは岩石や土壌に多く含まれています。平野が多いヨーロッパでは川などがゆるやかに流れており、ミネラル分がじっくりH2Oの中に溶け出す時間を得ることができます。また海底が隆起してできたヨーロッパ大陸には石灰岩層が多く、カルシウムがH20に溶け込みやすいのも硬水になる原因です。

 一方、日本は『軟水』が多いと云われます。急流が多く、加えて火山岩や花崗岩が多い為、時間的にも地質的にもミネラルが吸収される機会が少なくなります。加えて雨や雪が多く、水資源が絶えず新しいものに入れ替わります。ミネラルが『水』に溶け込むには時間が足りないため、サラサラした癖のない軟水が保たれるのです。


僕らの生活にはどっちがいいの?

 どっちがいいかは、功罪半ば、好みもあるので一概に言えないと思います。

 ただ『軟水』は胃腸に優しく、だれでも安心して飲めます。赤ちゃんのミルクや離乳食にも最適です。赤ちゃんの腎臓は未発達なので、ミネラルの多い『硬水』だと濾過作業を行う腎臓の負担になります。
 また素材の風味を邪魔しません。コーヒーや茶類については後述しますが、風味を引き立て、出汁もよく出ます。
 さらにせっけんやシャンプーの泡立ちがよく、肌や髪に優しいと云われます。

 一方、硬水はスポーツ後のミネラル補給にうってつけです。不足しがちなマグネシウムやカルシウムを手軽に摂取できます。腸の動きを活発化し、便秘やダイエットにも効果的です。逆に飲み過ぎると胃腸への負担が大きく、下痢を誘発します。
 洋食は当然、『硬水』で料理することが前提です。肉の臭みを消したり、パスタのコシを出すのにも有効です。
 石鹸やシャンプーの泡だちは悪いのでご注意を。


水道の水&市販の水は軟水 or 硬水?
水道水は軟水か硬水か

水道水は?

 水道局を経由したことで、硬水か軟水かが変化することは原則ありません。
 ただ日本の一部地域では意図的に硬水を中硬水(硬度60~120mg/L)に変えて、提供している地域もあります。大まかですが沖縄、関東南部、熊本があたります。
 沖縄の地層は、サンゴ礁が固まった琉球石灰岩が多く、雨水が通ると大量のカルシウムが溶け出します。また関東南部は、利根川上流の石灰岩と利根川の長さが硬水化の原因です。ゆったりと時間をかけて流れる中で、ミネラルは確実に『水』に溶け込んでいきます。熊本の水道水は、世界でも珍しい100%地下水です。阿蘇山の噴火で生まれた火山性地層でじっくり地下水となるため、地中のミネラル成分を豊富に含んだ中硬水となります。
 硬水を流すと、給湯器や水道管に水垢が詰まり、故障の原因になるため、中硬水への変換処理がなされています。

 ちなみに市販のペットボトルの水では、軟水では『いろはす』『南アルプスの天然水』硬水では『エビアン』『コントレックス』などがよく知られています。


コーヒー、緑茶、紅茶は硬水、軟水、どっちで飲む?

 一般的には『軟水』の方が、素材本来の風味を引き出しやすいと云われます。
 緑茶や紅茶は渋みや旨み、香りがしっかり抽出できます。色合いも、緑茶ならきれいな薄緑や黄金色に、紅茶なら澄んだ美しい赤褐色になります。
 一方、『硬水』ではミネラル成分が反応してしまい、お茶の色合いや香り、味にまで影響が出ます。例えば、カルシウムは緑茶の渋み成分であるタンニンと結合し、味を変えてしまします。

 緑茶や紅茶に比べると、コーヒーは硬水なりの良さがあります。 硬水のミネラルには、コーヒーの酸味を消し、苦味を引き立てる効果があります。硬水に含まれるカルシウムやマグネシウムが、コーヒーの酸味成分を中和し、ロースト香や苦味をどっしりと引き立てるのです。この硬水の性質をうまく活かしたのが、イタリアの『エスプレッソ』になります。


 まぁ、どっちがどっいでもいいような話ですが、テレワークが中心になり、家で好きなコーヒーや紅茶片手に仕事をする、という人も多いかと存じます。うまく使い分けてもらえれば、と思います。

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