忘れないでほしい歌声たち・・・渚ゆう子、安倍律子、小坂恭子

聴いてオススメ・ミュージック 70's/80’s 懐かしのヒット曲
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 昨年もですが、『MUSIC AWARD JAPAN』の記事を集中的に書いた後は懐かしい『歌』たちを聴きたくなります。テクニカルで密度の高い令和の音楽たちは確かに素晴らしいのですが、やはり50代後半の私にはもう少し口ずさめる歌が接しやすいのかもしれません。

 今回、紹介する3人の歌手はそんな懐かしくも、記憶に残る歌手たちです。
 若い方は「知らんわ!」と云われるかもしれませんが、ぜひ一度は聴いてみてほしいです。昭和生まれの僕らはこんな歌を聴いて、大人になったら・・・と思ったものです。


渚ゆう子
渚ゆう子:京都の唄を歌う~京都の恋、京都慕情、女ひとりetc~(CD)

渚ゆう子:京都を歌う

 ベンチャーズ歌謡の第一人者。京都の恋』『京都慕情』『京のにわか雨』など京都にまつわる歌を多く歌いました。ちなみにベンチャーズ歌謡とは、エレキギターバンド『ベンチャーズ』が作曲し、日本人歌手が歌った歌謡曲の総称です。切なく湿り気のある泣きメロと、歌の合間を埋める粋なギターフレーズの絡みがとても印象深く心に残ります。
 渚ゆう子さんのエキゾチックで哀愁を帯びたヴォーカルとも絶妙のマッチングで、聴いていると懐かしい京都の風景が脳裏に浮かんできます。この原稿を書くためにひさびさに『京のにわか雨』を聴いたのですが、或る雨の日、石畳の上を傘をさして、和服姿の叔母に手を引かれてどこかへ行ったのを思い出しました。僕は守られてたんだなぁ・・・とつくづく思います。
《参考》渚ゆうこベスト全曲集(CD) ◆ 渚ゆう子 京都を唄う(CD) ■ ザ・ベンチャーズ:コーナー


安倍律子
安倍律子ベスト全曲集 -愛のきずな, 愛のおもいで, 律子のタンゴ-(CD)

安倍律子ベスト全曲集(CD)

 『デュエットソングの女王』として知られる安倍律子(現 安部里葎子)ですが、デビューは妖艶というか、夜の酒場が似合いそうな『大人の女性』というイメージのソロ歌手でした。レコード大賞新人賞を受賞したが愛のきずな有名ですが、『愛でくるんだ言訳』『愛のおもいで』『お嫁に行くなら』も長期間にわたり有線放送で流れたと聞いています。
 あまり記憶にないのですが、空前絶後のプロポーションと、妖艶な美貌、アンニュイなハスキーヴォイス・・・昭和ネオンに溶け合うような歌手だったそうです。情のかよった、どこか未練が残る男女の別れ、今では流行らない男と女の関りかもしれませんが、二人で紡いだ大切な時間を思い出させてくれます。
《参考》 ◆ 安倍律子ベスト全曲集(CD)


小坂恭子
オススメCD

オススメCD

 ポプコンから現れたシンガーソングライター・小坂恭子想い出まくらはもちろん聴きあきない名曲ですが『恋まつり』『遠い日』もとてもいい曲です。圧倒的な歌唱力と、日本人の琴線に触れる哀切なメロディセンスは今聴いても新鮮です。
 僕はけっこう『恋まつり』が好きで、「かわりばんこにお酌をして かわりばんこに歌を歌って♪」って明るいメロディーで歌うのですが、別れたくない、でも別れるしかない彼女の心根を思うと、思わず「ごめんね」と言いそうになります。別に悲恋に酔う癖はないですが、確かに昭和はさまざまな事情で結ばれない恋がありました。家や仕事の事情がけっこうあったんです。若い人にはたぶん笑われるでしょうが。人生の機微や孤独、後悔なんかを優しく丁寧に描く、それが小坂恭子の魅力なんじゃないかなと思います。
《参考》 ◆ 小坂恭子ベスト全曲集(CD)


 自分が多感な時に聴いた曲だから・・・というのも事実かもしれません。でも令和の派手な歌や前向きな歌とは異なる、『あきらめ』や『後悔』、『断ち切れない想い』『明るい恋ではなく、泥くさいまでの愛』が昭和の歌にはあったように思います。こちらがいい、あちらがいい、ということではなく、その令和の歌にはない未練や湿っぽい熱情を今もなお抱えて生きているのが、私たちの世代なんだと思います。だから昔の曲に強く共感する、若い人にも聴いてほしいと思う。
 ただ人間の本質なんて、そう変わるもんじゃない気がします。若い人も年を経れば、今の私たちと同じ心境を持たれるかもしれません。そんなときに私たちが「いいなぁ」と思っていた曲には生き残っててもらいたい。そのためにより多くの人に聴いてもらいたい、聴き続けてもらいたい、そんな風に思います。青くさいんだけど、そう思うのです。

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