『最優秀アジア楽曲賞』は、日本を除くアジア各国(中国、韓国、台湾、インドネシア、フィリピン、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、香港など)でヒットした楽曲が対象となります。アジアの多様な音楽文化を讃え、国境を越えた文化交流とそのグローバルな発展を促すことを目的に創設されています。
米国ルミネイト社収集のアジア主要10か国の2025年年間チャート(配信、再生数、SNS等)上位楽曲から2段階の選考で受賞作が決定されます。売上や再生数だけを評価基準とせず、創造性や芸術性、文化的影響力も重視し選考されるそうです。
最終ノミネート曲は下記の5曲です。
インドネシアの4人組『Silet Open Up』の『Tabola Bale』。日本語で『行ったり来たり』みたいな意味です。「もういいや」「やっぱ好きやわ」と揺れ動く恋心をユーモラスに描いています。方言の混ざった歌詞、土着のリズム、それに現代ポップスを融合して、言葉はわからずとも微笑ましい楽曲になっています。中盤のスクラッチ&電子音を駆使したエッジの効いたドロップダウンがいいアクセントになり、面白さを増しています。聴きやすさと楽しさを両立した楽曲です。
インドネシア国内で高い人気を得ています。
■ 試聴『Tabola Bale』
タガログ語で『幽霊』を意味する『Multo』。明るい曲なのにどこか哀愁を帯びたメロディと歌声は、なんとなくエアサプライやシカゴ、ワム!などを彷彿させます。軽快なギター・ポップにフィリピン・ポップ特有のセンチメンタルなメロディーラインは、昭和世代の私には心地よく感じました。ヴォーカルも力強さは弱いものの、空気を含んだか如き柔らかさと、素朴さが耳なじみ◎。
YouTubeやTikTokでの拡散力が非常に高く、フィリピン国内や東南アジア全体で越境ヒットを達成したポップス王道曲。
■ 試聴『Multo』
昨年も『WAY 4 LUV』で最終ノミネートに残った『PlAVE』の代表曲『Dash』。バーチャル・アイドルグループでありつつも、メンバー自身が作詞/作曲/振付を担当。K-POPらしい高密度のサウンドデザインとドラマチックな展開が魅力。またバーチャルならではの完成されたヴォーカルワークと、HIPHOP調の力強いトラックの融合も支持を集めています。
デジタルとリアルの境界を越えたと評判のビジュアルも人気で、韓国国内だけでなく、日本を中心にアジア全域で高いストリーミング実績を残しています。
■ 試聴『Dash』
『溺れる』を意味する『Drowning』をタイトルに冠した、韓国発のエモーショナル・ロック。『別れの痛み』を歌っています。R&Bを融合し、WOODZ特有の内省的な歌詞と、ミニマルで美しいプロダクションも含め、『アジアのR&Bシーンの成熟』を象徴する曲として評価されています。
最大の魅力はチョ・スンヨンのヴォーカル。圧倒的な声量と、後半にかけて感情が爆発するようなエネルギッシュな歌声は聞く者を魅了します。EDMやPOPSの人気に押され、影が薄かった韓国のロックが遂に姿を現した感じ。もともと優れた歌唱力を持つシンガーが多いだけに今後にも期待が持てそうです。
■ 試聴『Drowning』
ソニー・ピクチャーズ アニメーション制作、Netflix独占配信のミュージカルアニメ『KPop Demon Hunters』の主題歌『Golden』。歌うHUNTR/X(ハントリックス)はアニメの主人公グループ。アカデミー賞主題歌賞、グラミー賞最優秀視覚メディア楽曲賞を受賞し、ハイブリッド・ポップの頂点と謳われる1曲。
トラップ由来の重低音808と、EDMの煌めくシンセが滑らかに融合。それでいてメロディーはキャッチー。ラップと歌唱の切替もスムーズで、聴き心地の良さと緻密な構成が同居した稀有な楽曲と云われています。Netflixの業績好調も相まって世界中で広くストリーミングされています。
■ 試聴『Golden』

昨年より幅広いジャンル、イメージを持つ楽曲がノミネートされた気がします。
中でも一番人気は『Golden(HUNTR/X)』かと思われます。なんといっても世界中で聴かれていることは『最優秀アジア楽曲賞』の趣旨に最も合致していると云えそうです。
ただ個人的に私自身が今後も聴きたいという視点でば、『Multo(Cup of Joe)』と『Drowning(WOODZ)』は捨てがたい。『Golden』が『音楽を楽しむ』印象があるのに対し、この2曲は『歌を楽しむ』印象があります。
日本版CD未発売が多いですが、ぜひ一度聴いてもらえれば、と思います。
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