2026年2月28日。アメリカとイスラエルがイラン空爆を行ってからほぼ2週間がたちました。
アメリカ政府は、トランプ大統領の発言は兎も角、そろそろ戦争を終結に持ち込みたい素振りが見え隠れしますが、一向に戦争を止めようとしないのが、イスラエルです。

イラン空爆
真実かどうかはわかりませんが、一部情報では空爆目標の選定や開戦決定の判断には諜報機関モサドによる情報提供や、AIPACなど親イスラエル団体のロビー活動が強く影響したのではないか、という憶測もまことしやかに噂されています。
それでは、なぜイスラエルは執拗にイラン攻撃継続を主張するのでしょうか?
いくつもの要因が複合的に絡み合った結果でしょうが、4点ほど主要と思われる要因を挙げてみます。
1979年のイスラム革命以降、イランは『反米&反イスラエル』を国是としてきました。国是とは、国家の根本的方針や決まりを指します。
例えばイラン憲法には『あらゆる種類の覇権主義を否定する』と明記されていますが、アメリカを『傲慢な覇権主義者』、イスラエルを『イスラムの土地を占領する違法な存在』と定義しています。イランにとって、イスラエル打倒によるパレスチナ解放と反米闘争は、最も重要なジハード(聖戦)に他なりません。
故にイスラエルでは、イランの現政権はイスラエルの存在そのものを否定する敵であり、外交的妥協が困難な相手と認識されています。有名なイランの初代最高指導者ホメイニ氏は、イスラエルを『リトル・サタン』と呼び、イスラム世界の侵略/植民地支配の象徴として定義したそうです。
ナチスによって民族壊滅の寸前まで追い込まれたユダヤ民族にとって、イランはナチスの再来とも云うべき存在なのかもしれません。
公に最も攻撃理由として挙げられているのが、イランの核開発です。イスラエルは、イランが核兵器を保有すれば自国の存続が脅かされると考えています。
イランは核兵器保有を公式には否定していますが、濃縮ウランの開発などが進んでいると云われています。イランは平和利用を主張していますが、イスラエルは自国が中東唯一の核保有国であることを望んでおり、イランが核を持てばイスラエルの存続が脅かされる」と強い危機感を抱いているのです。
この考えは多くのイスラエル国民に受け入れられおり、イランの核施設を標的にした攻撃は『自衛的先制行動』として国内的にも正当化されやすいのです。
3/17の記事で紹介しましたが、イランはネットワーク型地域戦略を志向しています。レバノンのヒズボラ、シリアのアサド政権、パレスチナのハマス、イエメンのフーシ派などに、資金と武器、情報を支援することで、『抵抗の弧』によるイスラエル包囲網を形成。イスラエルの安全保障体制に疲弊と不安を与え続けることで、自国の防衛と安全を維持しようとしてきました。
しかしこれは同時に、イスラエルにとっては常時、敵対勢力に囲まれていることを意味します。イスラエルの立場ではこれら軍事勢力の排除、さらには『抵抗の弧』に多大な支援を続けるイランの壊滅が自国の防衛と安全に不可欠になってくるのです。
長く続くガザの戦争や、ヒズボラ指導部が壊滅したことで、このネットワークに綻びが見えた今こそ、イランを叩く好機とイスラエルは判断。執拗に攻撃を続けているのではないでしょうか。
イスラエル現首相 ベンヤミン・ネタニヤフ氏は、もともと安全保障強硬派の支持に支えられた人物です。加えて2026年3月の世論調査では、8割以上の国民がイランへの攻撃を支持していると報じられています。イスラエルがガザやパレスチナ、レバノンなどで行ってきた行為は、多くの日本人には認められないものと思いますが、イスラエルの人々がハマスやヒズボラの脅威を取り除いてほしいと思う気持ちも十二分に理解できます。
またイスラエルにしても、イランにしても、互いに互いの脅威を喧伝することで国内の経済統制や反政府デモの抑圧、軍事力強化がしやすいという背景もあるかもしれません。
なにより、これはいずれの国でも同じかもしれませんが、外敵を抱えるとき、戦時下では政権が安定しやすいことは歴史が証明しています。

他にも、さまざまな理由があって、戦争が起こり、続いているのだと思います。アメリカ、イスラエル、イラン・・・いずれの国にもその国の『正義』があるのだと思います。これは現時点で直接戦渦に巻き込まれていないヨーロッパ諸国や中国、もちろん日本などにも云えることです。
『破壊』の源は、実は正しいか、間違っているかではなく、『疑惑』や『不信』ではないかと近頃は感じるようになりました。


