伊藤左千夫『野菊の墓』朗読CD発売!

伊藤左千夫『野菊の墓』朗読CD発売! ドラマ/映画
『野菊の墓』朗読CD

伊藤佐千夫『野菊の墓』の朗読CDが発売。

【朗読】野菊の墓 / 伊藤佐千夫(CD2枚組)

【朗読】野菊の墓

【朗読】野菊の墓 / 伊藤佐千夫(CD2枚組)

『野菊の墓』は、明治39年に雑誌『ホトトギス』で発表された作品です。
 当時の日本は急速な近代化の中、農村部ではまだまだ、封建的な家制度や古いしきたりも色濃く残っていました。
10代の若い男女のお互いに気づくか、気づかないかもわからないような仄かな恋心が、慣習や噂話、家の面子などで有無を云わさず引き裂かれる不条理。
それに抵抗もできなかった自分。
もう取り戻すことができない悔恨と痛みを、美しい農村の風景に溶け込ますように描いた作品です。

 著者の伊藤佐千夫は『春の潮』『隣の嫁』などでも見られるように、『農民の生活』『自然』『家制度』などを、よく物語の中に描きました。歌人・正岡子規の弟子でもあった佐千夫の文体は、率直でいて、やわらかく、どこか余韻が残るものでした。
『馬追の 声さやけしや 草の原』
たった15文字の歌に、自然と一体化して生きる人々の営みを感じることができます。

『野菊の墓』は、斎藤政夫の回想という形で綴られます。
 彼がまだ矢切に住んでいた15歳の頃。病弱な政夫の母を手伝うため、2歳上の従妹・民子が家へやってきます。優しくて、働き者で、清らかでどこか儚げ。政夫はそんな民子に心があったかくなる気がします。
 ところが、二人の仲のよさを見た周囲の家々であらぬ噂が立ち始め、世間体を気にした政夫の母は民子を叱りつけます。民子の態度の変化に驚く政夫ですが、やがて自分が民子を女性として見ていることに気づき始めます。「民さんは野菊のような人だ。僕は野菊が大好きだ」山畑の綿を取りに行く道中、政夫はそう民子に想いを伝えますが・・・。
【映画】野菊の如き君なりき -『野菊の墓』より- / 木下惠介監督作品(DVD)

【映画】野菊の如き君なりき

 最後のシーン。政夫は民子の墓に参ります。
 墓の周囲になぜか野菊が繁っているのを見た政夫は、墓一面に野菊を植え、学校に戻っていく。
『野菊の墓』というタイトルは、この野菊に囲まれた墓のことであり、野菊のようだった民子の墓のことでもあり、同時に、純粋で穢れなく一途だった少年の墓でもある、そんな気もする作品です。

 青くさい、と云えば青くさい物語だと思います。ただ多くの人が、男でも、女でも、後悔しても詮なき一瞬を体験しています。それが大人への一歩になった人もいるでしょうし、たとえそうであったとしても、今も『痛み』になっている人もいると思います。
 夏目漱石が絶賛したことでも知られる『野菊の墓』の朗読CD。ぜひお楽しみください。



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