中国が制作した本場の『三国志』DVD20枚組・・・重厚な英雄列伝集

中国が制作した本場の『三国志』DVD20枚組・・・重厚な英雄列伝集 時代劇&歴史ネタ
『三国志』DVD20枚組

歴史ドラマというと『大河』だが、中国でもこういう重厚な作品が多くつくられた時期があります。その中でも大ヒット作といわれるのが下記の中国中央電視台制作版の『三国志』です。

三国志演戯・完全ノーカット版 (DVD20巻組)

三国志演戯・完全版

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 本作は、魏呉蜀の三国志時代の後、大陸を統一した晋の陳寿が著した歴史書『三国志』を元に、羅貫中が書いた小説『三国志演義』を原作に制作されています。通常ドラマ化される際は、劉備、関羽、張飛の『桃園の誓い』から諸葛亮の死=『秋風五丈原 死せる孔明 生ける仲達を奔らす』で終劇となることが多いのですが、本作では、(西)晋による大陸統一までをいちおう描き切っています。
 製作費100億円、出演者10万人、馬10万頭、製作年数4年と云いますから、当時の中国の経済状態を考えると、よくやったなぁ、と驚く規模になります。
 劉備を孫彦軍、諸葛亮を唐国強、関羽を陸樹銘、張飛を李靖飛 、曹操を鮑国安・・・と、当時の名のある中国人俳優は総出演していました。中でもめだったのが諸葛亮を演じた唐国強と、曹操を演じた鮑国安です。
 実のところ、本作が今も多くの三国志ファンから、『三国志映画の最高傑作』と謳われる理由は、三国志全篇を描き切ったということに加え、この悪役・曹操の存在にあります。


 この曹操(字は孟徳)という人物、本来は到底、『悪役』と一言で云い表せる人物ではありません。宋時代を中国のルネサンスとも云う人が多いですが、思想や芸術を人間の業に戻したということで云えば,曹孟徳こそ最大の功労者だったでしょう。
 漢帝国時代、中国大陸は儒教的文化を礎に治められていました。春秋戦国・漢楚決戦と長く戦乱が続いた大陸では、平穏な日々を望みつつも、ともすれば簡単に治安が乱れる空気が漂っていました。歴代の皇帝やその側近たちは、長幼を護り、節度を保つ儒教の教えを広めることで、人々の暴発を防いでいたようです。しかし長すぎる安念は停滞を生み、停滞は鬱屈を育て、鬱屈はやがて絶望へ繋がります。
 また中国では、詩文も、絵画も、音楽も、政治や経済、産業発展さえも、『儒』の名の元に制限され、自粛し、がんじがらめになっていました。

 曹孟徳はこの長き停滞を己が力でこじ開け、変革して見せたのです。
「才あれば用いる=任人唯賢」
悪人であっても必要な才能であれば登用する、という人材論を展開。また荒れ果てた土地から大量の民衆を強制移動させ、荒れ地を開墾し耕作地を拡大。中国大陸の食糧生産能力を大幅に向上させました。さらに法制を整え、皇帝による支配から、皇帝の元での法による支配へと移行したとの記述も見られます。
 その一方で曹孟徳は、後継者の曹丕、その弟・曹植と共に『健安の三曹』として健安文学を牽引しました。


 『治政の能臣、乱世の奸雄』と呼ばれたこの複雑怪奇な男=曹孟徳を、鮑国安が熱演しています。
 鮑国安の曹操像が高く評価される理由は、単に「名演技」という一言では収まりません。彼が演じた曹操は、悪役でも英雄でもない、『生きた人間』としての曹操でした。冷徹で非情な政治家であり、才覚と度量を備えた英雄でもあり、繊細な文人でもある。一人の人間の中にある割り切れない多面性を表現して魅せたのです。
  1994年、中国中央電視台制作版『三国志』をぜひ一度ご覧いただければと存じます。

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