弊店では日本各地の伝統工芸品を紹介した映像記録(DVD)を数多く、扱わせて戴いています。
飛びぬけて売れるわけではないですが、一定数、確実に注文を戴く商品となっています。特に日本の伝統工芸に興味を持つ外国籍の方はまとめ買いいただく場合も少なくありません。日本で伝統工芸と云うと、やはり『民藝(民芸)』が頭に浮かびます。
民藝・・・正しくは民衆的工芸は1920年代に柳宗悦、濱田庄司、河井寬次郎らが提唱した美の思想です。『用の美』という言葉に象徴されるように、実際に人々が日々の生活で用いる器や衣服、生活道具などの雑器にこそ、作為のない、健やかで力強い美しさが宿っている、という考え方です。
「自分を表現しよう」「認めさせよう」という我欲ではなく、ただただ使いやすいように、長く愛用してもらえるように、と願って名もなき職人が丁寧に作った民芸品たち。その実用的で、素朴で、見飽きることのない『美』。技巧を誇らず、生活に寄り添い、使われることで完成する『美』。この『無名の美』こそ日本を支える精神なのかもしれません。
『民藝』の収集家でもある僧侶の太田浩史氏は著書『民藝 -他力の美-』で、この民藝思想を浄土真宗の他力本願の教えになぞらえておられます。また同志社大学校祖・新島襄先生は自作の漢詩『寒梅の詞』で「争わず また努めず 自ずから占む 百花の魁」と歌い、かのイーロン・マスク氏もSNSで、名もなき職人が全くアピールもせず、精密な仕事を何気なく仕上げてくる日本の文化に恐怖を感じると述べたと聞きおよびます。
世に界も、イギリスの『アーツ・アンド・クラフツ運動』や、北欧のデザイン文化、中国 宋時代の陶磁器文化、インドの主王芸思想、なにより柳宗悦が深い感銘を受けた朝鮮半島の白磁文化など、似たような運動、技術、文化はあります。ただこの『民藝思想』のように、美術的事象を哲学や価値判断にまで高めるのは、日本独自の文化といえるのかもしれません。
モノが溢れ、デジタル化がすすむ現代社会。効率やスピードにばかり価値を置きがちな今だからこそ、『手仕事のぬくもり』や『時間をかけた丁寧な仕事』が見直される時期になっているのかもしれませんね。(^^)

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