正月落語に『初天神』はいかが?

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落語/浪曲/漫才‐演芸

お正月が近づいてきました。
子どもの頃は「クリスマスを過ぎると、もう正月」とウキウキでしたが、大人になるとせわしないばかりで・・・いやいや困った時期です。

ところが正月に入ってしまうと、これが閑の極致でして。
若い時なら初詣だ、安売りだ、となんやかや忙しかったですが、齢50を超えますと、
初詣?・・・近くのお寺さんでええんじゃない、
安売り?・・・行っといで、おりゃ寝てるよ、
てなもんで、なにもかもおっくうになるもんです。

そんなあんなで近年は、正月は貯め込んだ落語なんかのCDやDVDを楽しむのが常になっています。
江戸のお方は寄席に行きゃあええじゃないか、と仰るでしょうが、なにせ関西は寄席が大阪の繁盛亭さんぐらいしかありません。
それに枝雀さんや吉朝さん、雀々さん、松喬さんや小染さん、先代の春蝶さん、本来、四天王の後を受け継ぐはずの方々が早々とあの世に旅立たれ、どうにも足が遠のきます。


正月の落語と云うと、やはりめでてぇものか、大笑いするもの、定番ものに目が参ります。
正月ネタってイメージが強いのは、やはり『初天神』『御神酒徳利』『七草』『餅屋』『藪入り』なんかがあるでしょうか。
大笑いってか、定番と云うと『芝浜』『寿限無』『饅頭こわい』『時うどん(関東では時そば)』なんかが思い浮かびます。
正月から、死人が出てくる『らくご』や『黄金餅』『死神』、火事ネタの『火事息子』、季節外れの『船徳』『青菜』ってぇのも粋じゃねぇ気がします。

初天神』なんざは、正月にはおあつらえ向きの演目です。
正月25日の『初天神』。天満宮さまにお参りに行こうとする父親に、母親が息子も連れてってほしいと頼みます。
父親は、息子は縁日で必ず「これ買って、あれ買って」とせがむので嫌だと断りますが、しまいには折れて、「何もおねだりしない」ことを条件に連れていくことにします。
とはいえ、行ってしまえば子どもの勝利。
泣いてすがって、甘えて、脅して・・・百戦錬磨の子ども戦法で父親を追い詰めます。
防戦一方の父親は遂に力尽き、餅を買いーの、団子を買いーの・・・それでも子どもはおさまらず、店先の大きな凧を要求しはじめます。
「ありゃ売り物じゃねぇよ」
たまらねぇとばかりに拒否する父親ですが、凧やの店主が抜け目なく登場し、「坊ちゃん、お目が高い!」。
暗転急変。
凧を買った親子は、凧あげをしようと空き地へ向かうのですが・・・。

という噺です。
このあとどんでん返しがあるのですが、ほのぼのとしたやりとりの中に、小さな欲と、親子の愛嬌が浮かび上がる、人間の可笑しみと親しみが詰まった落語らしいお題だと思います。
落語は人を描く芸能ですから、風景描写にあまり手間をかけません。
でも、この『初天神』は、新年特有の浮かれた空気感、神社へ向かう縁日の賑わい、それに触発される子どもの目の輝き、そんなバックグラウンドをどこまで垣間見せてくれるかが演者の『腕』だと感じます(^^)

弊店ネットショップにもいくつか紹介していますが、定評ある王道の柳家小三治、テンポのよさと独特のアレンジが魅力の春風亭一之輔、上方落語らしく明るく軽やかな笑福亭仁鶴、親子で楽しめる落語をめざす四代目・桂文我などが人気があります。
個人的には五街道雲助柳家さん喬なんかも捨てがたい魅力があります。

年末年始のお休み。
肩の力を抜いて、がんばらず、ダラダラと、でも、もったいなかったなと後悔せぬよう、笑顔で過ごしたいですね。
それでは、それでは。


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