テイラー・スウィフトはAI音楽に挑戦する!?

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日本以上にCDが売れなくなったアメリカで、史上最速で300万枚を突破した、テイラー・スウィフト(Taylor Swift)のニューアルバム『ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール(The Life of a Showgirl)』
挑戦的と云われるこの作品が日本でも、ジワジワと売上を伸ばしています。
もしかすると今回のアルバム『The Life of a Showgirl』の仕掛けに秘密があるのかもしれません。


現代的なスタジアム・ポップから溢れる叫びと告白
テイラー・スウィフト / ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール(CD)

Taylor Swift / The Life of a Showgirl

 テイラー・スウィフトはこれまでも、自身の人生、恋愛や成功、挫折、マスコミとの対立などを織り込んだ作品を発表してきましたが、本作では、現代のポップアイコンになったテイラー自身を『ショーガール』というメタファー(隠喩)に仕立てました
1枚のアルバム『The Life of a Showgirl』で綴られたのは、ショーガールー=テイラー・スウィフトを演じることの光と影
拍手喝采で幕が下りたあと、彼女が感じる静寂。
華やかなメイクの裏に隠された孤独と葛藤。
彼女がこのアルバムで表現したそれは、テイラー・スウィフトのみの現実かもしれませんが、同時にそれは社会や家庭で日々、自分らしく生きようとする多くの女性が感じる真実でもあります。
優秀なビジネスウーマンも、家庭を守る母親も、研究に打ち込む大学職員も・・・、もっと云えば男性さえも。
ステージに立ち続ける全ての人々が抱える強さと脆さだったりします。

昔、ボブ・ディランが名盤『血の轍』で綴った『剝き出しの人間性』や、キャロル・キングやジョニ・ミッチェルが築いた『告白の芸術』が、テイラー・スウィフトの歌詞には存在しているように感じます。


1枚のアルバムこそが一つのショーである
ボブ・ディラン ベスト全曲集 -Very Best Of Bob Dylan-(CD2枚組)

ボブ・ディラン ベスト全曲集

 もう一点、本作をより深く味わう過程が、フィジカル(CD/レコード/カセット)の価値再発見に繋がる可能性も無視できません。
現在の音楽シーンはストリーミング視聴が主流となり、有名曲や聴きたい曲のみを1曲単位で聴く単曲消費の時代と云われます。
しかし、『The Life of a Showgirl』では、『ショー・プログラム』を模した歌詞カードや印象的な写真をブックレットに付されており、楽曲と共に味わう音楽体験を提案しています。
あえて『アルバム全体を通して聴くこと』に意味を持たせ、音楽を物語的な体験へと再構築しようとしているのかもしれません。
かつてビートルズやローリング・ストーンズはアルバムを『作品』と称し、ピンク・フロイドやデヴィッド・ボウイはコンセプトアルバムを発表しました。
1枚のアルバムがまるで一つのショーのように構成され、曲ごとに異なる幕が開き、聴き手を華やかなステージへと誘う。
もしかすると本作は、音楽を『聴くもの』から『体験するもの』へと脱皮させる羅針盤となるかもしれません。


AI音楽に、この歌が届けられるか!
【LP盤】テイラー・スウィフト / ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール(アナログレコード)

【LP盤】Taylor Swift / The Life of a Showgirl(レコード)

今、ネットでは山のようなAI生成音楽と出会うことができます。
けれど!
『AIよ。おまえにこんな歌が歌えるか!』

あまりにも個人的で、血の通った言葉。
『The Life of a Showgirl』に綴られた『詞』は、テイラー自身の心の叫びです。悲鳴であり、欲望であり、怒りであり、魂です。真似なんてできない。
『詞』はテイラー自身なのだから。
どれほど技術が進歩しても代替できない、人間固有の感情の尊さが、今もそこに存在しています。

歪-ひずみ-や屈折した感情をも活かす昔ながらの技能と、クリアで鮮明で効率のよい現代的プロダクションの融合。
個々の楽曲にはストリーミングでバズるキャッチーさを持たせつつ、アルバム全体を聴くと一つの大きな物語が見えてくる構成。
『音楽を体験する存在に!』
テイラー・スウィフトの『ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール』ぜひ聴いてください。