ガザへのイスラエル攻撃が断続的に続く一方、もう一つのパレスチナ自治区であるヨルダン川西岸を舞台にしたドキュメンタリー映画が発売されました。
これは、ヨルダン川西岸で生まれ育ったパレスチナの青年バゼルと、祖国の行動に憤りを覚えバゼルへの協力を申し出たイスラエル青年ユーパールの命を懸けた取材を、映画化した作品です。
■ ヨルダン川西海岸とは?
ヨルダン川西岸は別名・東パレスチナとも呼ばれます。
イスラエル建国戦争とも呼ばれる第一次中東戦争の結果、ヨルダンが自国領土に編入しますが、第三次中東戦争でイスラエルが奪取。
その後、1990年代前半のオスロ合意で、このヨルダン川西岸とガザ地区は将来的にパレスチナ解放機構(PLO)が治安・行政を行うパレスチナ自治区に制定されます。
段階的に権利を委譲していく予定でしたが、結果的には和平は挫折しました。

コーランを知っていますか
和平挫折の理由はいくつもあります。
例えばイスラエルによるヨルダン川西岸への入植の増加です。
さらにパレスチナ、イスラエル双方での内部対立。
パレスチナでは、ガザを根拠とするハマスがパレスチナ主流派のファタハと対立。
イスラエルではオスロ合意を締結したラビン首相が暗殺されます。
なにより障害となったのは、ユダヤ教徒イスラム教が共に聖地とするエルサレムの帰属、難民帰還問題、国境線、さらに入植地の取扱いなど、解決が必須の問題が滑江先送りされ、合意に至らなかったからだと云われています。
本映画でバゼルとユーバールはヨルダン川西岸各地を取材します。
そこでは、イスラエル軍によりパレスチナの住居、学校、ライフラインが次々と破壊されていきます。
生きる伝手を失った人々は生まれ育った土地を追われ、難民となり流浪することになります。
パレスチナ難民の総数は、国連パレスチナ難民救済事業機関の発表によると2024年時点で約597万人に上ります。
それでも僕たちは、この現実を変えたい
同じを願いを抱き、共に危険を乗り越えていくバゼルとユーパール。
二人の間には確かな信頼と友情が育まれていきます。
それは未来への希望です。
しかし一方で、カメラの向こうでは理不尽な暴力と破壊が存在し、
「この友情はいつまで続くのか!?」
・・・現実は二人の不安を掻き立てます。
カメラを置いた後も、ほんの近くの村や町で、だれかが家を失い、田畑を奪われ、最悪、命を失います。
二人の友情と信頼は、未来への希望であると同時に、それでも事態が好転しない現実への絶望でもあります。
まずは見て戴ければ、と存じます。
人間のなにが、人を狂わし、他人だけでなく自らをも絶望の淵へと叩き落すのか。
たぶん、人間だれしもがその現実から出発するしかないのですから。




