高台寺さまの茶会にて

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昨日10月12日。高台寺さまでのお茶会に行ってきました。
大変お世話になっているお寺さまが売茶真流という煎茶道のお家元をされていて、そのご縁でお呼ばれしてきました。

売茶は、江戸時代中期に活躍した煎茶文化の開祖・売茶翁(ばいさおう)に由来すると聞いています。
茶人・文人として活躍した売茶翁はもともと黄檗宗の僧侶で、還俗した後も、伊藤若冲、池大雅、与謝蕪村、円山応挙など多くの文人と交流されたことでも知られます。
京都の四条河原や寺町通で、茶を淹れ売り歩いた売茶翁でしたが、茶代はわずかだったそうです。
「誰もが心静かに茶を味わえる場」をめざし、『無一物中無尽蔵』=何も持たない中にこそ、限りない豊かさがある、という禅語を店先に掲げたと云われています。
昨日の茶会、お家元のお人柄もあり、また売茶翁から脈々と続く『文人の遊び』としての喫茶、お茶を通じて、詩・書・画・哲学を融合する世界が至る所に見受けられました。

写真などは本来は無粋で、自分の眼で見、自分の舌で味わい、自然の音を聴き、会話を愉しむ・・・五感全部で一刻を分かち合うのが本来だと思いますので、写真は4枚だけ失礼を承知で写させて戴きました。
私の下手な写真では、十分に準備してくださった方々の思いは伝わりませんが、貼らせて戴きます。


貴船菊と流木

貴船菊と流木

貴船菊

茶会場の入り口の脇にそっと置かれていました。
貴船菊は別名・秋明菊とも呼ばれます。
ピンク色の明るい花もあるのですが、今回が流木と合わせ、裏側の緑とのコントラストも考え、白い花を選ばれたそうです。
「菊」とついていますが「アネモネ」の一種です。
花言葉は複数あるのですが、「あなたを忘れない」という意味もあり、一期一会、初めて出会う人と共に茶を愉しむ、そのひとときの大切さを示されたのかもしれません。


高台寺・湖月庵の庭景

高台寺・湖月庵庭景

湖月庵庭景

例年、会場は方丈でされていたのですが、今回は工事中で湖月庵でご接待を戴きました。
湖月庵は通常、一般拝観されていない茶室です。高台寺を開かれた北政所(豊臣秀吉正室)の法名・高台寺湖月心公に因んで名づけられたそうです。
小規模ですが、茶室の趣を重んじた佇まい。山水庭園や石畳などと調和する風景が、幽玄静寂の美を感じさせます。


螺鈿の琵琶

螺鈿の琵琶

螺鈿の琵琶

主に夜光貝やあわびなどの貝殻を薄く削って細片にし、漆地に象嵌にする。
これを螺鈿と言います。
美しい螺鈿を施した琵琶が床の間にあり、非常に目を引きました。

学がないため「なぜ琵琶なのですか?」とお尋ねしてみました。
「巳年ですから。」
よくよく聞いてみると、巳(ヘビ)→ 弁天(弁財天)→ 琵琶 ということだそうです。
七福神の一人・弁天さまは、インドの水神・サラスヴァティーが起源と云われます。
日本では古くから「蛇は水神の使い・化身」と考えられていました。
そこで弁天さまと蛇が結びついたと云われます。
西国三十三所札所御詠歌で知られる琵琶湖の竹生島は、島全体が弁天信仰の聖地で、白蛇が弁天の化身として祀られています。

そのような縁で、美しい琵琶を飾られたとのことでした。


竹林の七賢

竹林の七賢 フィギュア

竹林の七賢

写真がわかりにくいのですが、『竹林の七賢』の置物です。
一目見たとき『河童の楽団?』といってしまい、顔を顰められてしまいました(^^;
『竹林の七賢』は三国志の魏の末期から西晋初期に、活躍した知識人グループです。
阮籍、嵆康、山濤、向秀、劉伶、阮咸、王戎。
彼らは形式に捉われない老荘思想に傾倒し、世俗を離れて清らかに、自由に、知的に生きたと云われます。
その生き様は、後に日本に伝わり、『清談』『隠逸』『高士』の理想像となりました。
売茶翁の『無一物中無尽蔵』とも相通ずるところがあるのではないでしょうか。
置物の背景には、ほんとうの草花で飾られ、上質のジオラマのようにも思いました。
どのような茶席にしたいか、席を作ってくださった社中の方々のお気持ちを感じる一品でした。


とまぁ、写真をもとに少しお茶会の感想を書かせて戴きました。
正直、無粋極まりない市中の輩にすぎない自分ですから、間違っていること、誤って理解していることもあるかと存じます。
勉強不足故とお許しください。
大掛かりで、京都府肝煎りの『北野大茶会』も開かれていた時期でしたが、ご縁のあった人々と大切なひとときを味う、そんな時間もお茶会の良さだと私は思っています。
なんでもかんでも、イベントにし、経済効果を問うようなことは、本来の価値を失わせてしまう可能性を秘めています。
『無価値である』ことにこそ『価値がある』、そんな気もするのです。


売茶真流高台寺茶会251012

売茶真流高台寺茶会

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