9/29スタートの新・朝ドラ『ばけばけ』。
『耳なし芳一』や『雪女』で知られる小説家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻・小泉セツをモデルにした作品です。
島根県・松江市を舞台に、怪談好きの娘・松野トキ(高石あかり)と、英語教師ヘブンとの心の交流を描きます。
幽霊や人間が見えないなにか、をめぐる優しい交流が物語の主題です。
このドラマの主題歌『笑ったり転んだり』を歌うのが夫婦デュオ『ハンバートハンバート』です。
1998年結成に、佐藤良成さんと佐野遊穂さんにより結成されました。
フォークやカントリー、アイリッシュトラッドなどを土台に、温かく、時に切ない歌詞が魅力です。
正直、初めて聴くと若い人向きの曲とは到底思えんかった。
タラタラした曲調、起伏もなく、淡々と歌うスタイル。
歌詞もね。
悪いとは言わんけど、「泣き疲れて眠るだけ」のあとは
「野垂れ死ぬかもしれないね」ときたもんだ。
なんじゃ、そりゃ・・・!?!?
ただ何回か聴いていると感じるんですよ。
それでもええか??? って。
現代社会って、中学や高校から資産形成のためだと株を教えたり、10年後を見据えて! なんて大威張りでのたまうところなんですよね。
でも考えてみ!?
10年後自分が思い描いてた通りになっていることなんて、殆どないです。
いや考えなくていいと云ってるんじゃないんです。
大切なことは、どんなに一生懸命に計画しても、思った通り進まなくても、「当然!」と承知しておくこと。
だって計画が台無しになったからって、人生やーめた!っていってたら何回生きてもうまくいきそうにない。
ありゃりゃ、思わぬ賽の目出ちまった・・・
ほな、こうしようか。
そんな少しばかり気楽に生きることも大切なんかもしれません。
『笑ったり転んだり』でね、あっこれだな!と思ったのは歌詞の最後の方。
なにがあるのかどこにいくのか
わからぬまま家を出て
帰る場所などとうに忘れた
君とふたり歩くだけ
(中略)
落ち込まないで諦めないで
君のとなり歩くから
今夜も散歩しましょうか
意気込んで、君がいれば、僕はどんな苦難も乗り越えれる! じゃないんです。
『愛と誠』の大賀誠みたいに「きみのためなら死ねる」じゃないんです。
でも彼女や彼は、いつも隣を歩いてくれている。
これはとてもうれしい・・・って、私が弱いからかもしれんけど、思うんですよね。
『笑ったり転んだり』は現代社会が肩肘張って、どこかに落とした忘れ物を、「これでしょ」って差し出してくれる歌なんだ。
ハンバートハンバートはこの曲を作るにあたって、
小泉セツの著書『思い出の記』を読み込み、その心を歌に移し変えたと云ってはります。
異国の片田舎、外国人が一人もいない土地で、小泉八雲なりに孤独や、異世界から来た感はあったと思う。
きっと、セツさんはそんな八雲の隣を、ニコニコ歩いてたんだろう。
一緒に歩いてくれる人がいる・・・幸せってけっこう、その程度のことなのかもしれませんね。







