中学生低学年のころ、けっこう好きだったアイドルが河合奈保子。
当時は深夜に『music TOMATO』『MUSIC TV』が始まっていて、マイケル・ジャクソンやマドンナ、デュランデュランやTOTOなどが学校でも人気だったので、徐々に聴かなくなり、高校の頃は興味もなくなっていた。
ところが先日、全く偶然に『ハーフムーン・セレナーデ』を聴いた。
エッ!?
簡単なレジュメを制作していたのだが、思わず手を止めた。
河合奈保子ってこんなによかったか????
画面ではピアノの弾き語りをしている河合奈保子が映っている。
作詞・吉元由美、作曲は河合奈保子。
歌詞もいいけど、曲もすごくいい。
てらったところや小細工がない、まったく王道の旋律なのだがすごく優しくて、包み込んでくるような、でも力強い。
徐々にトーンが上がっていって、メッセージが強まっていく。
誰もみんなひとりぼっちだから
優しさを愛おしむのね
抱きしめて永遠くあなたの胸の
いのちの響きに満ちる夢
1980年代の歌だから、今から考えると少し大袈裟な表現もあるけど、曲がそれに負けていない。
調べてみると、その後この『ハーフムーン・セレナーデ』は『月半小夜曲』としてアジアで大ヒット。
ハッケン・リー、プリシラ・チャン、ロッキー・チェン、ジョイ・ヨン、ジュリア・ゲンらがカヴァーし、CD発売されている。
2曲目の『ヤング・ボーイ』のヒットで一躍スタ-ダムに躍り出た。
同期の松田聖子、柏原芳恵、少し遅れてデビューした岡田有希子、岩崎良美、中森明菜、小泉今日子、中山美穂などとアイドル歌手全盛期を築いた。
この頃はアイドル歌手と云っても、歌唱力があることが前提で、歌手がアイドル的人気を持っているという印象だった。
私はこの直後に、
「アイドルなんて中学になって聴くもんじゃない」という思い込みで河合奈保子の歌を聴かなくなる。
その一方で、河合奈保子さんはアイドル歌手から女声ヴォーカル、アーティストへと変貌を遂げていった。
竹内まりや提供の『けんかをやめて』『invitation』、筒美京平作曲の『エスカレーション』『ジュラス・トレイン』、尾崎亜美『微風のメロディー』・・・今聴いても、
ええ曲やん!
と声が出る名曲をたくさん歌っている。
そして、この『ハーフムーン・セレナーデ』。
作詞に吉元由美を得て、河合奈保子さん自身が作曲したこの曲は、『十六夜物語』と並んで、アーティスト・河合奈保子への転換点になった。
最初に目をつけながら、世間の風潮に流されて聴かなくなった己の不明を思い知るばかりだ。
すべてのものは出逢ったときが『はじまり』。
そんな言葉を聞いたことがある。
再発見になるけれど、改めて河合奈保子さんの歌を聴きなおしている。







