配達中の車のラジオから聴こえた印象的なフレ-ズ。
30年を2時間半で飛び越して♪
・・・
真夜中のカウボーイ♪
なんか、ええなぁ
なんて一人ほくそ笑み、耳を傾ける。
あぁ・・・森山さんかぁ
オギャーッと生まれた頃にデビューされ、ずっと第一線で活躍される名歌手だ。
『この広い野原いっぱい』『禁じられた恋』など青春歌謡の趣が残るフォークソングで一世を風靡され、年を経てからも『涙そうそう』や『さとうきび畑』などスタンダードナンバーを歌いこなす実力派だ。
とにかく引き出しの多い方で、歌うジャンルもフォーク、POPS、ジャズ、クラシック、ラテンと幅広い。
なにより年齢や経験がちゃんと歌声に感じられるのがいい。
年を経て、ただ衰えるだけのヴォーカルもいれば、失ったものとは異なる魅力を加えて歌い続ける方もいる。
森山さんは後者の方だと思う。
幸い、私はCD屋さんなので耳に残ったフレーズをメモして、家に帰ると慌てて調べてみた。
正直、歌詞から曲を探すのは困難だ。
演歌などはよく似たフレーズも多く、売れていない曲はほぼ見つからない。
ただ今回は森山良子さんの曲ということ、
いちおう全篇ラジオで聞いて、なんとなくタイトルもうろ覚えがあったので、辿り着くことができた。
このアルバムに収録されていた。
↓
森山良子 ベスト全曲集-Greatest Hits-(CD)
曲名は
30年を2時間半で・・・
そのままじゃん・・・(と思わず東京弁・・・)
なんかミュージカルを聴いているような歌。
歌っていうよりここちよいサウンドに乗せて、物語を聴いている感じ。
ほぼ30年ぶりに再会した昔の恋人。
お茶でもしようか、と一緒にカフェに入る。
ふいに思い出す、21歳のあなたの誕生日。
はじめてのKiss
別れがたくて延長戦
近くのホテルでビールと赤ワインで乾杯し、
近況などを語り合う。
なんで別れたのか? 未だに思い出せない
30年を2時間半で飛び越して・・・
きっとまた会えるね、と一人つぶやく

再会した現在のあなたと私、
30年前のうぶだったあなたと私、
繋がるようでときめくけれど・・・
なんか切なくて、でもどこか可愛らしくて、それでもあったかくて・・・
なにも語られないけど、ふたりの30年間の営みがちゃんとある。
大人の恋人ごっこのような、なんとも粋な歌だ。
音楽は控えめなんだけど、言葉をキラキラ輝かせて、ひとことひとことに、きちんと想いをのせてくる。
こんなふうな歌もありなんだ
ひさびさにずっと聴いていたい歌に出会った。
もしよければ、あなたもいかがですか?
P.S. 同収録の『さとうきび畑(特別完全版)』。
10分を越えますが、これもぜひ聴いてもらいたい1曲です。



