映画『ちはやふる』三部作の10年後を描いた『ちはやふる -めぐり-』が先週、最終回を迎えました。
競技カルタをテーマに、近江神宮の全国大会出場をめざす高校生たちを描いた作品で、映画版で活躍した上白石萌音や広瀬すず、新田真剣佑、矢本悠馬らも登場し、シナリオも丁寧に描かれた話題作でした。
(参考:競技かるたドラマ『ちはやふる』百人一首の世界)
私は大好きだったのですが、言葉で書くと感動が逃げていきそうなので、内容紹介はBlu-ray&DVD発売まで置いときます。
ただ少し気になったのは、視聴率が悪い=期待外れ、という声がよく耳に入ることです。
視聴率とは、テレビ番組をリアルタイムで試聴した人の世帯や個人の割合です。
計測器を各家庭に設置し、データを記録し、統計化しています。
テレビ局の経営は、原則としてスポンサーの広告(CM)収入で賄われます。
つまり、高視聴率→CMを見る人が増える→スポンサーがいっぱいつく/高い価格で契約する→テレビ局が儲かる、というビジネスモデルです。
逆に低視聴率だと、CMを見る人が減り、スポンサーが減ったり、契約料金が低下するという流れになります。
近年は録画視聴(タイムシフト視聴)や、TVerなどの見逃し配信、配信サービスなどでの視聴が主流になりつつあります。
特にスポンサーがターゲットにする若年層(若手社会人、大学生、高校生、若年世帯)はこの傾向が強いようです。
問題は、従来の視聴率には、これら新しい視聴パターンが含まれないことです。
リアルタイム視聴に放映1週間以内のタイムシフト視聴を加えた総合視聴は計上されますが、TVerや配信サービスでの視聴は視聴率には計上されません。
現代では、高視聴率は作品を語る一つの指標ではあっても、昔ほど重要なファクターではなくなっている気がします。

低視聴率ドラマが伝説に!
もちろんいい番組は高視聴率になりやすいですが、放映時間のアンマッチや、予測視聴者層とのアンマッチ、競合番組の存在、など低視聴率の原因はさまざまです。
実際、低視聴率ドラマが再放送や配信サービスで人気を得、後に名作と認識された例はけっこうあります。
『北の国から』『時効警察』『カーネーション』『ケイゾク』・・・。
海外なら『フレンズ』『X-ファイル』『ブレイキング・バッド』などが挙げられます。
古い話ですがアニメ『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』は共に低視聴率で途中打ち切りになりましたが、再放送で評価が逆転。
現在の大人も楽しめる日本アニメの歴史に燦然と輝く作品と認識されています。
テレビドラマの未来は!?
一介のCD屋が申す事でもないですが、テレビ局のビジネスモデルが変わってきているような気がします。
現代は番組=コンテンツ自体が『金を生む』時代であるように思います。
優良スポンサーを集めるための道具から、番組自体がプロダクト=商品である時代に変わりつつある気がします。
配信サービスの進化/充実で、消費の機会を、地域的にも、期間的にも、年齢層的にも拡げていくことがこれまでより容易です。
故にコンテンツを人集めの道具としてスポンサー収入を増やす、従来のビジネスモデル以外に、コンテンツ自体を商品として流通させるビジネスモデルがこれまで以上に重視されます。
ネックになるのはたぶん言葉と収益構造でしょう。
日本人は字幕映画を見慣れていますが、これは世界的に見れば稀有なことです。
世界で海外映画やドラマを視聴する際は吹替が一般的です。
そして吹替収録にはけっこうな費用が掛かります。
また日本ドラマには『無言』シーンが多いことがあります。
無言や所作で思いが伝わるシーンが多いのです。断言しますが、これはけっして欠点ではありません。
むしろ長所で、ドラマの品格や視聴者の没入感を向上させる手法でもあります。
ただそれでも生活環境や異なる価値観を持つ人々には伝わりにくいのは事実なのです。
もう1点、製品で云えば『流通』にあたる配信手段を海外企業に支配されていることも課題だと思われます。
コンテンツの世界配信では、現状ではNetflix、Amazon Prime、Disney+に期待することになります。
日本にもU-NEXT、ABEMAなどがありますが、いずれも国内向けサービスであり、海外展開については、そもそもその意図があるかさえ疑わしい状態のようです。
今回の『ちはやふる -めぐり-』。
確かにベタで、よくある設定ではありましたが、シナリオの出来や役者さんの演技は丁寧で楽しかったです。
キャラ立ちもしっかりしていました。詳しい紹介は後日にしますが、いいコンテンツだと思います。ぜ
ひ和歌やカルタ遊びと共に、世界に発信して戴ければと思います(^^)








いずれにしろ、視聴率やスポンサー評価に捉われすぎてドラマの内容を陳腐化したり、打ち切りしたりすることは極力やめてただき、よいコンテンツを制作して戴ければ、と思う次第です。