吉幾三さんの新曲『二枚目気取り』が発売になりました。
なんとなく心に残る歌です。
ご注文はこちらから
麻こよみさんは多くの楽曲を手がける人気作詞家で、『鴨川なみだ雨(葵かを里)』『北の断崖(山内惠介)』など景勝地を舞台にした歌や、『昭和の女(長山洋子)』『女の潮路(市川由紀乃)』など女性の心情を季節や旅情に織り込んだ繊細な歌詞が評価されています。
ただ本歌『二枚目気取り』では、この特色を抑えた演出に敢えて挑戦されているようです。
場所はふたりで過ごした小さな部屋でしょうか。
突然、告げられた別れ。
エッ???っていう言葉も出せずに受け入れる自分。
カバンひとつを持って、部屋の鍵をあいつに握らせて、そのまま部屋を出た。
そういえばいつも帰りは午前様。
煙草は身体に悪いからというお前の言葉も邪魔にしてたなぁ。
実のところ、ただ、これだけの歌です。

でも、この歌の凄味、おもしろみは文字に起こされていない、行間にあります。
歌を聴けば、だれだって気づきます。
彼はきっと別れを後悔しています。
でも、その後悔している自分の本心さえおぼろ。
フワッとしているのです。
二枚目気取りで 俺は静かにうなづいた
二枚目気取りで カバンひとつででてきたよ
二枚目気取りで 俺はお前の手を握り
二枚目気取りで 鍵を渡して出て来たよ
何度も繰り返される『二枚目気取りで』という言葉・・・
なんであんなにカッコつけたのかなぁ・・・
という自分への疑問と不満がそこには隠れている気がします。
別れたくないと 言ってたら
今でも一緒に 暮らしていただろか
彼も気づかぬ本心は、「今でも一緒に暮らしていたかった」のじゃないでしょうか?
近年の歌や漫画、ドラマには、感情の奥底まで文字や言葉で表現する作品が多くあります。
けれど私たちの殆どは、喉元過ぎて、振り返って初めて、自分の心に気づきます。
「俺のことは俺が一番知っている!」
あれは嘘です。
深呼吸して気持ちを落ち着かせても、渦中では自分の本心に辿り着けないものです。
大切であれば、大切であるほど、私たちは誤ります。
それが普通なのではないでしょうか。
或るとき、ふと右側にいつもはなかった空間があるのに気づく。
いつも隣でニコニコしていた『あいつ』がいない。
あれっ? なんでいないんやろっ?
と少し驚き、突然、彼女がいない寂しさがグッと押し寄せる。
それでも私たちはエエカッコして、『二枚目気取りで・・・』なんて言い訳をする。
大切な人は手放しちゃいけない、大切な人にこそ正直に・・・
思いはするができないのが、性なのかもしれません。
すべてを言葉にせずとも伝わる気持ちはあります。
同時に伝わるだけでなく言葉にしないといけないこともたくさんあります。
いい歌です。
《参考/吉幾三オススメ映像作品》
▷ 吉幾三・コンサート&紅白歌合戦映像集(DVD3枚組)
▷ 吉幾三 コンサート -芸能生活40周年-(DVD)




