この夏、日本絵画史に大きな足跡を残す屏風絵と絵巻物の展覧会が、平安神宮近くの美術館で開催されています。
詳細は下記の通り。
展覧会『広がる屏風、語る絵巻』

細見美術館 地図
【開催日】 2025.5.24(土) ~ 2025.8.3(日)
【開催場所】細見美術館
京都市左京区岡崎最勝寺町6-3
☎ 075-752-5555
【開館時間】午前10時 ~ 午後5時
毎週月曜日定休(月曜祝日の際は、翌火曜日が休日)
【入館料】 一般 1,800円 学生 1,300円
【展示物一部紹介】
豊公吉野花見図屏風、撫子図屏風、祇園祭礼図屏風、源氏物語図屏風
硯破草紙絵巻、藤の衣物語絵巻、住吉如慶『きりぎりす絵巻』
日本の絵画文化は、西欧の絵画文化がキリスト教と結びつき花開いたと同様に、仏教美術の一部として発展したと云われます。
中国大陸、朝鮮半島から仏教伝来とともに、壁画や掛け軸などの仏画が渡来し、奈良時代に大きく発展しました。
平安時代に入り、文化の成熟や遣唐使廃止の影響もあり、国風文化が開花すると日本独自の絵画様式が発展。
日本の物語、風景、四季、風俗、行事等をテーマに、明るく華やかな色彩で繊細で優雅な筆致で描く『やまと絵』が生まれました。
このやまと絵は、当時流行り始めた『絵巻物』という形式と深く結びつき、大きな進化を見せます。

『絵巻物』は現代の漫画やアニメの祖形ともいわれ、『絵』と『詞書(ことばがき)』を交互に配した、横長の巻物です。
見る人が巻物を解きながら、順に鑑賞していくことで、絵画文化に時間制と物語性を与えました。
絵巻物の題材となる宗教説話や恋愛物語(要するに源氏物語!)、合戦、日記などもこれに伴い発展。日本の物語文化の発展も培われました。

『屏風絵』の発展は、ずいぶん遅れ、室町時代後期から桃山時代に再発展期を迎えます。
屏風はもともと風よけや間仕切りとして用いられた実用性の高い家具でした。
収納性を高めるため折り畳みができたのも特徴で、この屏風に絵を描くという発想が、室内装飾と機能美の融合、つまり生活空間そのものの芸術化に繋がり、空間芸術としての絵画を成立させたと云われます。
人の背丈ほどの屏風=大きな画面に広がる絵画世界と一体となる、これはミケランジェロの教会壁画『最後の審判』などにも通ずる感覚だと思います。
『絵巻物』と『屏風絵』は、異なるアプローチで、絵画文化を日本人の生活に溶け込ませた、一体化させてきました。
私たちが日々、なにげなく体験しているさりげない「!」の源を、ぜひこの展覧会に尋ねてみてはいかがでしょうか?


