朝ドラ『あんぱん』高視聴率の影響でしょうか?
作詞『やなせたかし』作曲『いずみたく』の童謡&唱歌集 が売れ始めている。
名曲『手のひらを太陽に』をはじめ『イルカの星』や『ナマコの行進』『バイキンのうた』など個性的な歌が37曲収録されています。
子供が歌えば楽し気に、大人が歌えば少し風刺っぽく、そんな歌が多い気がします。
作曲が三木たかしさんなので、上記CDには収録されていませんが、『それいけ!アンパンマン』にこんなフレーズがあります。
何のために生まれて
何をして生きるのか
こんな哲学的な問いは子供向けの歌には似つかわしくありません。
でも、やなせさんは敢えてこのフレーズを用いました。
やなせさんは子供を語るとき、「一年生には一年生なりの思想がある」と云われたそうです。
子供だって一つの思想や不安、希望、疑問を持つ存在であると尊重したうえで、でもそれが間違っていたり、不十分であれば、正したり、助言をするのが大人の役割=教育だと考えておられたのでしょう。
戦争で弟を失ったやなせさんは、『正義が逆転する』ことをよく知っておられました。
ある人の正義が万人の正義ではなく、大多数の正義が必ずしも唯一の正義ではない。
愛と勇気だけが友達さ
という『それいけ!アンパンマン』の歌詞は、他人への思いやりと、正しいと思ったことを実践する勇気だけはホンモノだと、子供たちに伝えています。
もちろん子供たちにこんな理屈っぽいことを伝える必要はないと思います。
楽しく歌ったり、アニメを見れば十分です。
でもきっと、なにか大変なことが、彼や彼女自身やその家族や友達に起こったとき、自分の顔のアンパンをちぎって分かち合う、そんなアンパンマンの行動も思い出す人もいるかもしれません。
キリストが信者たちにワインとパンを与え、私の血であり肉である、と仰られたという逸話が聖書に遺っています。
『分かち合う』という行為は最大の『愛』なのかもしれません。
まぁ、こんな小理屈こねて、歌を聴くことは、やなせさんもいずみさんも望んでおられないでしょう。
子供たちだけでなく、私たちも深くは考えず、歌を歌い、アニメを楽しみ、イベントを味わう。
多くの時間を笑顔で過ごす、それでいいと私も思います。
ただ何かふとした折に、
戦争を経験した先輩たちが、
何を僕らに伝えたかったのか?
何を後悔していたのか?
何を大切にしていたのか?
思いおこす機会があれば、それでいいんだと思います。



