藤井風 Hachiko を聴く

オススメの音楽/福山雅治 NOW MUSIC!-聴いてみて-
オススメの音楽/福山雅治

藤井風が今月リリースした新曲『Hachiko』
「凄くいいけど聴かはった!?」とお客さんに教えてもらい、さっそく聴いてみた。

藤井風 / Prema:初回盤 or 通常盤(CD2枚組 or CD/送料サービス)

藤井風 / Prema

基本、英語詞。ただ掴みのフレーズは日本語。
『Doko ni iko Hachiko(どこに行こう ハチ公)』
軽快でありながらもなにか包み込むようなビートに乗せて、柔らかくも力強い歌声で歌われる。
英語詞が多いだけに、唯一の日本語詞である『Doko ni iko Hachiko』のフレーズが耳に残る。
もちろん、渋谷の忠犬ハチ公がモチーフだ。

恥ずかしい話だが、私は音楽を言葉で表現するのはすごく下手だ。
感じることはできるが、言葉に置き換えるには語彙が不足している。
だから「いい曲だな」と思って紹介する前には、他の人の記事にも目を通すようにしている。
すると、この曲のテーマを『待ち続ける愛』『変わらない思い』『無償の献身』だと書いている記事が多いことに気づいた。
ハチ公側の視点だ。
「そうかな?」と思った。
私には、この歌は、自分を待ち続けてくれたハチ公の惜しみない愛情への感謝と、彼を置いてけぼりにしてしまった後悔、そして待ち続けるハチ公の姿であらためて気づいた彼への愛おしさ、そんな思いを感じたのだ。
この曲のテーマが『無償の献身=愛』や『変わらない想い』であれば、それは一方通行ではなく双方向。
むしろ『私』からハチ公へ向けられる思いの方が大きい気がする。

『You’ve been patiently waiting for me(ずっと待っててくれたね)』
『This time I’ll never let you go(今度は絶対に君を離さない)』
という歌詞がある。ペットたちは私を、飼い主を唯一無比の存在として、信じて、一切疑わず、慕ってくれている。
それを私は裏切ってしまった。その気持ちに応えきれてやれなかった。取り返しのつかない時間の流れ。
ももし、また彼と出会えたら、彼のけむじゃらの首に両手を廻し、抱きしめてやれたら、彼のリードを手に取って、彼と見つめ合えたら、私は言いたいんだ。

『どこへ行こう? ハチ公』
『二人で一緒に何処へ行こう、何処でも行こう、一緒に行こう』
そう言ってやりたいんだ。言いたいんだ・・・私にはこの歌がそんな風に聞こえた。

小さい頃から動物が好きで、たくさんのペットを飼ってきた。
でもいつも後悔している。
もっとこうしてやればよかった、ああしてやればよかった。
後悔するならしてやればいい、そう言われるかもしれないが、いつも足りない気がする。

藤井風の歌は、リスナーにより受け取り方がまちまちであることが多い気がする。
藤井風が伝えたいメッセージは確かにあるのだろうが、あえてそれを限定させず、リスナーが自らを投影する余地=あまりの部分があるのだ。

音楽は対話だと語る人がいる。
その言葉の意味をよく掴めないでいるのだが、もしかするとこういうことなのかもしれない。
一つの曲を挟んで、それぞれが異なる感情、異なる印象を抱く。その違いに気づくこと。
これも対話かもしれない。

『Hachiko』私は好きになりました。
あなたも是非一度、お聴きください。